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PXIe-58423世代PXIベクトル信号トランシーバ概要

内容

概要

NIは2012年にベクトル信号トランシーバ (VST) の概念を導入しました。VSTはRF信号発生器、RF信号アナライザ、強力なFPGAを1つのPXIモジュールに組み合わせたものです。PXIe-5842 VSTは、30 MHzから26.5 GHzまでの連続する周波数帯域をカバーする初めてのVSTです。利用可能な即時帯域幅が従来モデルの2倍の2 GHzに拡大され、エラーベクトル振幅 (EVM) や平均ノイズ密度などの主要なメトリックにおいて全体的なRF性能が向上しています。

仕様PXIe-5842の性能
周波数レンジ30 MHz~26.5 GHz
帯域幅最大2 GHz
Tx/Rxアンプ確度± 0.4 dB (標準)
Tx/Rxフラットネス± 0.45 dB (標準)(2 GHz BW)
EVM (5G NR)-58 dB (100 MHz、ループバック、測定、ノイズ補正有効)
EVM (802.11be) -52 dB (320 MHz、ループバック、測定、ノイズ補正有効)
最大出力電力+25 dBm (標準)(CW @ 5 GHz)
調整時間<230 µs
PXI Expressスロット数4

 

表1: PXIe-5842仕様詳細については、仕様書を参照してください。

 

PXIe-5842第3世代PXIベクトル信号トランシーバ

図1: PXIe-5842第3世代PXIベクトル信号トランシーバ

その結果、VSTは幅広いRF設計とテストアプリケーションに対応し、RF刺激とRF応答を必要とするアプリケーションに理想的です。アプリケーションの例には、Wi-Fi 7および5Gワイヤレス設計の検証と製造テスト、試作、サブ​テラ​ヘルツ (6G) 研究用のチャンネルサウンディング、電子走査アレイ (ESA) とワイヤレス通信用のPAおよびトランシーバのRFIC検証と特性評価、デジタル送受信モジュール (DTRM) を利用したESA特性評価、レーダーシステムの検証、通信および信号インテリジェンス検証テストなどがあります。

​PXIe-5842 VST特長

PXIe-5842には、高性能なRF信号発生器とRF信号アナライザが搭載されています。どちらの計測器もI/QからRFへの直接変換を採用しており、高い測定品質を実現するために最適化されています。

主な技術的特長

 

広い周波数レンジ

PXIe-5842は、30 MHzから26.5 GHzまでの連続する周波数帯域を1台の計測器でカバーする、初めてのVSTです。WLAN、超広帯域無線 (UWB)、Bluetooth、5G NR、無線試作など、さまざまなアプリケーションや規格を、1台の高性能で汎用的な計測器でテストできるようになりました。 最先端のデュアルシンセサイザ (PXIe-5655) と高周波数帯域の組み合わせにより、PXIe-5842は、レーダーターゲットシミュレーション、電子戦および衛星通信におけるスペクトルモニタリング、またはレーダーおよび衛星通信システムで一般的に使用される電子スキャンアレイ (ESA) コンポーネントのパラメトリックテストなど、VHFからKバンドまでのさまざまな航空宇宙および防衛アプリケーション (A/D/G) に使用できます。

RFスペクトル全体に及ぶ商用アプリケーションとSATCOMの増加

図2: RFスペクトル全体に及ぶ商用アプリケーションとSATCOMの増加

広い即時帯域幅

Wi-Fiや5G NRなどの今日のワイヤレス規格は、高いピークデータレートを達成するために、非常に広い帯域幅を備えたチャンネルを使用しています。最新の802.11be Wi-F規格では、320 MHzの最大チャンネル帯域幅が定義されています。5G NR規格では、FR1で400 MHzの最大チャンネル帯域幅が定義されています。これらの規格は今後も進化を続け、より多くのチャンネル帯域幅に対応し続けることでしょう。

また、計測器の帯域幅要件は、ワイヤレス通信チャンネルの帯域幅を超えることがよくあります。たとえば、デジタルプリディストーション (DPD) を用いた状況でRFパワーアンプ (PA) をテストする場合、テスト装置がPAモデルを抽出し、非線形性の動作となるように補正し、補正した波形を生成する必要があります。高度なDPDアルゴリズムになると、RF信号の帯域幅の3~5倍の帯域幅が必要になることも多々あります。その結果、計測器の帯域幅要件は、5G NR FR1 (400 MHzの信号) の場合は最大2 GHz、802.11be (320 MHzの信号) の場合は1.6 GHzになる可能性があります。

5X信号帯域幅を使用するDPDアルゴリズム

図3: 5X信号帯域幅を使用するDPDアルゴリズム

PXIe-5842 VSTの大きな機能強化の1つは、即時帯域幅が2 GHzと広くなったことです。この広い帯域幅により、より課題の多いアプリケーションを解決できます。たとえば、5G NRデバイスのテストでは、5G搬送波の多くは数百メガヘルツ単位で分離されています。PXIe-5842の広い帯域幅により、1台の計測器で複数の5G NR搬送波を生成または解析できるため、複数の計測器を使用する必要がありません。

さらに、広帯域レーダーシステムは、より正確にパルス信号を収集するために、多くの場合、最大2 GHzの信号帯域幅を必要とします。また、スペクトルモニタリングシステムは、計測器の帯域幅によって、スキャンレートを大幅に向上できます。つまり、広い信号帯域幅は、多くの最先端研究アプリケーションにおいて、欠かすことのできない要件になってくるのです。

拡大するチャンネル帯域幅
セルラーWi-FiA/D/G
LTE-Advanced100 MHzWi-Fi 680 MHzSATCOM
5G NR FR1400 MHzWi-Fi 6160 MHzレーダー
5G NR FR22000 MHzWi-Fi 7320 MHzEW
隣接チャンネル漏洩電力向けの3倍の帯域幅 | デジタルプリディストーション向けの5倍の帯域幅

 

表2: ワイヤレス規格のチャンネル帯域幅の進化

最適化RFフロントエンド

PXIe-5842の設計には、3つの異なるレシーバ/トランスミッタベースバンドパスが備わっており、各テスト条件下で最高の性能を発揮するように、RFフロントエンドが最適化されています。

  • 1.75 GHz以下の中心周波数向けのダイレクトRFサンプリングパス。このパスによりRFチェーンがシンプルになり、LOリークや残留側波帯イメージなどの障害のない生成と収録が可能になります。
  • 即時帯域幅 (IBW) が最大900 MHzに及ぶ信号で、高いダイナミックレンジを実現するために最適化された低IFベースバンドパス。このパスでは、信号発生器と信号アナライザがLOを帯域外の周波数にオフセットすることで、周波数応答が改善され、平均ノイズ密度が3 dBm/Hz改善されます。
  • 2 GHzまでのIBWを使用する広い帯域幅の信号に最適化された、ゼロIFベースバンドパス。

PXIe-5842ベクトル信号トランシーバ (VST) の単純化されたブロック図

図4: PXIe-5842ベクトル信号トランシーバ (VST) の単純化されたブロック図

高性能LO

PXIe-5842 VSTは、PXIe-5842モジュールと、優れた位相ノイズ性能を備える高性能デュアルLOシンセサイザPXIe-5655で構成されています。

PXIe-5842 VST測定RF入力位相ノイズ

図5: PXIe-5842 VST測定RF入力位相ノイズ

次世代のワイヤレスデバイスでは、EVM性能要件がさらに厳しくなっています。昨今のワイヤレス通信システムには高次変調方式と広帯域マルチキャリア信号が導入されていることを背景に、ワイヤレスデバイスのRFフロントエンドは、高い線形性と低い位相ノイズを実現し、必要な変調性能を備えている必要があります。そのため、ワイヤレスデバイステスト用のテスト計測器はさらに正確なRF性能を実現する必要があります。 PXIe-5842 VSTは、高度I/Qキャリブレーション技術 (特許取得済み) を使って、広帯域信号に対応する、最高レベルのEVM性能を実現します。たとえば、802.11be、320 MHz、4096-QAM、12 dB PAPR波形では、PXIe-5842は-52 dBのEVMを達成しています。NIの特許取得済みの相互相関技術をRFIC Test Softwareを通じて利用すれば、この性能をさらに高めることができます。

802.11be検査対象デバイスにPXIe-5842とRFIC Test Softwareを使用する様子

図6: 802.11be検査対象デバイスにPXIe-5842とRFIC Test Softwareを使用する様子

低い位相ノイズは、現代のレーダーシステムで最も重要な要素の1つです。レーダーシステムは、ある周波数でパルスを送信し、戻ってきたパルスの周波数シフトを測定することで動作します。このシフトは、ドップラー効果を通じてイメージ作成される物体の速度に関係しています。位相ノイズ性能が低いと、ドップラー情報の処理能力が低下します。PXIe-5842の標準的な位相ノイズ性能は、-80 dBc/Hz (18 GHz、100 Hzオフセット) であり、レーダーターゲットの生成と解析のための優れた選択肢となっています。

PXIe-5842の通常のLO調整時間は230 µs以下となっており、航空宇宙や防衛産業でよく見られる低遅延の周波数ホッピングを必要とするアプリケーションに対応できます。

モジュール簡単同期

現代の通信規格は、洗練されたマルチアンテナテクノロジを使用しています。こうしたシステムでは、複数入力複数出力 (MIMO) 構成を採用することによって、空間ストリームを増やすことで高いデータレートが可能になったり、ビームフォーミングを使ってより堅牢な通信が可能になったりします。MIMOにこうしたメリットがあることから、802.11beや5G NRといった次世代ワイヤレステクノロジには、1台のデバイスに最大128本のアンテナを装備した、より複雑なMIMO技術が採用されることになります。

当然のことながら、MIMOテクノロジにより、設計およびテストは大幅に複雑化します。デバイスのポート数が増えるだけでなく、複数チャンネルの同期の必要性も生じます。MIMOデバイスをテストするには、RFテスト装置で、複数のRF信号発生器/アナライザを同期できる必要があります。こうした構成を組むには、計測器のフォームファクタや同期メカニズムが大変重要になってきます。

図7: エンジニアは、1つの18スロットPXIシャーシで最大4台のPXIe-5842を同期できます。

コンパクトな第3世代VSTであれば、1つの18スロットPXIシャーシで最大4つのVSTを同期させることができます。さらに、完全に位相に同期してVSTを同期させることもできます。ハードウェア上では、各VSTでLOをインポートまたはエクスポートして、すべてのモジュールが共通のLOを共有できるようにすることができます。ソフトウェア上では、NIの特許取得済みのNI-TClkテクノロジにより、NI-TClk APIを使用して複数の計測器を簡単に同期させることができます。このAPIを使用すると、複数のVSTを同期させたり、LabVIEW、C/C++、.NETのいずれかを使用して、VSTを他のモジュール式計測器と同期させることもできます。

図8: NI-TClk APIを使用すれば、エンジニアはVSTを他のPXI計測器と同期できます。

 

RFパルス機能

最新の通信およびレーダーシステムでは、高度なRFパルス機能が、これらの高度なシステムを設計、テスト、最適化するための重要な方法として登場しました。パルス機能には、高精度タイミング、パルス変調、波形生成、過渡解析など、さまざまな機能が含まれます。RFパルス技術の可能性を活用することで、エンジニアや研究者は、広範なアプリケーションで性能、堅牢性、効率性の新たな次元を引き出せるようになります。

PXIe-5842 VSTには、計測器のフロントパネルに専用のパルス入出力接続が新たに追加されました。統合されたRF信号チェーンは、広範囲のパルス幅、パルス繰り返し間隔 (PRI) を可能にし、通信、制御システム、レーダーおよび電子戦アプリケーションにおけるネイティブパルス生成機能のオン/オフ比対パルス幅の最適化が可能になります。パルス変調は、生成された波形でサンプルベースマーカを使用するか、低レイテンシおよび低ジッタ向けに最適化された専用のパルス入力コネクタを使用して外部的に制御できます。デジタルトリガは、RFパルスエッジに合わせて専用のパルス出力コネクタからエクスポートすることもできます。

RF出力パルス変調およびパルス出力

図9: 条件:1 GHzのCW信号で測定されます。パルス幅100 ns、10%デューティサイクル、パルス変調ソース: パルス入力、パルス変調モード: アナログ。


図10:条件:30 MHzから26.5 GHzのオン/オフ比。指定された最大出力電力に設定された各周波数ポイントの電力レベルです。 

 

VSTは、RFmx統合された測定特性であるRFmxパルスInstrumentStudio™ソフトウェアを使用して、パルスRF波形を生成および測定できます。。RFmx Pulseは、さまざまなパルスタイプ、変調方式、さまざまな測定を実装できるため、RFmx SpecAn、RFmx DeMod、RFmx Phase Noiseなどの既存の特性と連携して、一般的なスペクトル測定から、レーダーおよび電子戦のパラメトリックおよび機能テスト、電子的にスキャンされたアレイ特性評価、デジタルTRMアプリケーションレベルのテストまで、より完全なRF測定のセットを使用してパルス測定を直感的に行うことができます。

図11: RFmxパルス生成とパルス波形の安定性の解析。

図12: パルス波形の振幅トレースを示すRFmxパルス。

データストリーミンデジタルインタフェース

第3世代VSTは、コプロセッサモジュールとの高速パラレル通信およびシリアル通信が可能な、柔軟なデジタルインタフェースを備えています。前世代のVSTと同様、PXIe-5842のフロントパネルにあるデジタルI/Oポートは、4つの送信レーンと4つの受信レーンで12 Gbpsの高速シリアルデータ転送が可能な汎用ポートとして、またはVSTのオンボードFPGAに接続された8ポート高速パラレルデジタルインタフェースとして機能します。

PXIe-5842 VSTには、各コネクタに4つのTXおよび4つのRXチャンネルを持ち、1レーンあたり最大16 Gbpsのデータ転送が可能な4つのマルチギガビットトランシーバ (MGT) で構成される高速シリアルインタフェースが新たに搭載されました。この機能を使用すると、ユーザはVSTをNI PXIe-7903などの外部高速シリアルFPGAモジュールに接続できます。これにより、高度に統合されたリアルタイムデジタル信号処理モジュールとの緊密な同期を維持しながら、高帯域幅アプリケーションに対してフルデータレートでのストリーミングが可能になります。

VSTを高速シリアルコプロセッサと組み合わせることで、SATCOMテレメトリとデータリンク検証、RFビームフォーミングと方向検出、広帯域スペクトルモニタリング、RFレコードおよび再生など、VSTが提供する全帯域幅を必要とするアプリケーションおよび製品に使用できます。サブTHz 6Gの研究をしているユーザは、第3世代VSTとPXIe-7903高速シリアル測定器を組み合わせることで、最大4 GHzの瞬時帯域幅でデバイスとの間でリアルタイムかつ持続的なI/Qデータストリーミングが可能になります。

6GサブTHzの研究と試作の詳細をご覧ください。

PXI VSTソフトウェアツール

VSTの最大の特長の1つは、きわめて拡張性が高いソフトウェアアーキテクチャです。VSTは、ソフトフロントパネルによる入門用から、高度なプログラミングAPIまで、複数のソフトウェアオプションを選択できるよう設計されています。

VSTの最もシンプルなソフトウェアオプションはソフトフロントパネルです。ソフトフロントパネルを使用すれば、RF信号発生器やアナライザをすばやく容易に構成して、フィクスチャをデバッグし、計測結果をすぐに出すことができます。たとえば、図13に示すソフトフロントパネルでは、隣接チャンネル漏洩電力 (ACP) の測定用にVSTを構成できます。

図13: ユーザはRFmxソフトフロントパネルを使用してすばやく測定するためにVSTを構成できます。

RFmxでのチャンネル電力測定

図14: RFmxでのチャンネル電力測定

もう1つのソフトウェアオプションであるNI RFmxでは、直感的なプログラミングAPIを提供しており、使いやすさと高度な計測構成を両立しています。C、.NET、LabVIEWで作成された100以上のサンプルプログラムを使って、すぐに始めることができます。これらのサンプルは、計測器の自動化を容易にするために設計されています。たとえば、図14は、7つの関数呼び出しのみを使用するRFmxのLabVIEWサンプルを使用して、チャンネル電力を測定する様子を示しています。

 

PXI VSTアプリケーション

無線周波数フロントエンド (RFFE) の検証

5GやWi-Fi 6などの広帯域規格のRFフロントエンドに取り組んでいるエンジニアは、新しいRFフロントエンドデバイスを検証する必要がありますが、その周波数帯域やキャリアアグリゲーションのシナリオは増加し、変調方式もますます複雑になっています。市場では、より高い効率と線形性が求められているため、エンジニアは50 Ωおよび50 Ω以外の環境で最新のデジタルプリディストーション (DPD) アルゴリズムと緊密に同期されたエンベロープトラッキング (ET) 構成を使用して、設計のパフォーマンスを検証する必要があります。

NIのRFFE検証リファレンスアーキテクチャは、デバイスの動作の特性評価、モデルの抽出、モデルの反転、プリディストーションのベースバンドIQサンプルへの適用という、重要な4つのDPD操作をすべて実行します。NIのRFIC Test Softwareを使用すると、DPDモデルを適用し、デバイスの動作を対話的に観察できます。 

広帯域パワーアンプのエンベロープトラッキング (ET) には、変調したワイヤレス信号の振幅に連動してDC電力供給を動的に変化させるET電源 (ETPS) が必要です。エンベロープトラッキングはPAを可能な限り常に圧縮に近い状態に維持することにより、全体の効率を向上させます。ETテストでは、NI RFFE検証リファレンスアーキテクチャにより、複数の計測器が簡単に構成できる統一された測定環境に変わり、VST、高帯域幅任意波形発生器 (AWG)、高速デジタイザの制御と同期が簡素化されます。

NIのRFFE特性評価向けソリューションについて詳しくはこちら

DPD条件下でのPA検証テストの一般的な構成

図15: DPD条件下でのPA検証テストの一般的な構成

RFFE製造テスト

PXIは、RFFEコンポーネントの製造テスト用に、スタンドアロンシステムとしてデプロイするか、NI半導体テストシステム (STS) の一部としてデプロイできます。STSは、NI PXIプラットフォームと、NIの速度向けに最適化されたテストソフトウェアを組み合わせることで、生産環境に適した完全密閉型テストヘッド内で高いテストスループットを発揮します。

さまざまなRFFE製造テストソリューション

図16: さまざまなRFFE製造テストソリューション

STSエンクロージャは、テスト計測器、検査対象デバイス (DUT) インタフェース、デバイスハンドラ/プローバのドッキング機構など製造テスタの主要コンポーネントをすべて収容しています。オープンなモジュール式STS設計により、業界標準となっている最新のPXIモジュールで計測器や処理能力を追加し、RFFE製造テスト全体のコストを下げることが可能です。

大量のRFFE製造テスト用のNIソリューションについて詳しくはこちら

システムレベルテスト向けレーダーターゲット生成

サブシステムを組み上げて完全に機能するレーダーシステムにする際、レーダー処理ソフトウェアを含め、すべてのサブシステムが統合された時点でエンドツーエンドの機能を保証するため、「システムレベル」のテストソリューションが必要になります。レーダーシステムレベルのテストでは、受信したターゲットパルスを、送信したレーダーパルスから現実的かつリアルタイムに生成することが必要になります。 この「現実的」かつ「リアルタイム」の要件は、低レイテンシと確定性を意味するため困難です。データバスとオペレーティングシステムがテストセットの受信パスと送信パスの間に挿入されている場合、デジタルシステムで両方を実現するのは困難です。  

NIは、レーダーの基本的な製造テストや機能テストを行うエンジニアに、VSTを中心とするソリューションを提供しています。 

基本的なレーダーシステムコンポーネント

図17: 基本的なレーダーシステムコンポーネント

電子走査アレイ (ESA) 特性評価

電子走査アレイ (ESA) には、パッシブ電子走査アレイ (PESA) やアクティブ電子走査アレイ (AESA) などのさまざまな形態があり、レーダーおよび通信アプリケーションにおいて現代のRFシステムの基盤となっています。ESAテクノロジへの移行に伴い、レーダーシステム内の電子コンポーネントの数は時とともに飛躍的に増加しています。レーダーであれ衛星通信であれ、ESAの開発は多段階のプロセスで行われ、基本コンポーネントの設計または選定から、これらのコンポーネントの機能モジュールやサブアセンブリへの統合と検証、アレイに統合した後の最終的なシステムレベルの検証までに及びます。それぞれの段階は、主要なモデリング、特性評価、そして最終的には製造テストで構成され、ライフサイクルを通じた相関関係が重要な要件となっています。

NIは、ESAシステムの要素をテストするために必要な、ハードウェアとソフトウェアツールの両方を提供しています。

NIのレーダー検証およびESA特性評価向けソリューションについて詳しくはこちら

SATCOMテレメトリ/データリンク検証システム

低軌道 (LEO) および中軌道 (MEO) の最近の商用化により、非地上系ネットワーク (NTN)、高分解能のリモートセンシングやリモート画像といった、最新の衛星ベースのアプリケーションが投入されています。これらの新しいサービスをサポートするために開発された衛星コンスタレーション、地上装置、サポート用打ち上げ機には、新しい通信/データリンクテクノロジが搭載されています。こうしたテクノロジでは、設計、システム検証、製造テストが新しい課題となっています。

NIは、幅広いハードウェアおよびソフトウェア検証ソリューションを提供することで、高性能の宇宙通信システムの開発を支援しています。

SATCOMのテレメトリ/データリンク検証システム向けのNIのソリューションについて詳しくはこちら

まとめ

ワイヤレステクノロジの複雑化に伴い、より高性能で多用途なRF計測器が求められています。PXIe-5842は最高性能のPXI VSTとなっており、Bluetooth、Wi-Fi、5G NR、UWBなどの最新のあらゆるワイヤレス規格や衛星通信をテストするために構成可能な唯一のPXI製品です。 VHF帯域からKレーダー帯域までの連続する周波数帯域をカバーしています。PXIe-5842は、即時帯域幅が2 GHzまで拡張され、RF性能も向上させたことで、テストおよび測定上の最も困難な課題にも確実に対応できます。PXIe-5842は、前世代のVSTと共通のソフトウェアツールを使用しているため、お客様はシームレスにアップグレードでき、以前のアプリケーションを新しいPXIe-5842に瞬時に移植することができます。