絶対確度またはシステム確度計算する

概要

この記事では、データ収集 (DAQ) デバイスまたはモジュール、CompactDAQ (cDAQ) またはCompactRIO (cRIO) Cシリーズモジュール、またはSCXIシステムのコンポーネントまたはシステム全体の測定確度を決定する方法について説明します。この情報は、システムの使用を開始したばかりで、不正確または予期しない測定値が表示された場合に役立ちます。また、デバイスまたはモジュールがアプリケーションのニーズを満たしているかどうかを検証することにも役立ちます。

内容

概要

まず、コード幅と分解能のビット数は関連していますが、それだけではデバイスやモジュールの確度は定義されないことを理解する必要があります。

このソリューションでは、最初に各システムコンポーネントの確度を決定することにより、システム全体の確度を計算する方法を説明します。システムの測定確度を計算する手順は、以下のとおりです。

  1. 確度と環境パラメータを決定します。
  2. 各システムコンポーネントの絶対確度を計算します。
  3. 絶対確度値を使用してシステム確度入力換算 (RTI) システム確度を計算します。

計算例は、以下の「追加情報」セクションに記載されています

 

ステップ1:計算確度影響する変数特定する

最初に、各コンポーネントとシステムの接続を確認し、測定確度に影響するすべての関連変数を特定します。

この例では、SCXI-1125絶縁モジュールは、SCXI-1352ケーブルを使用してSCXI-1141フィルタモジュールにカスケード接続されているものと想定します。このフィルタモジュールは、NI 6052E DAQデバイスに接続されています。

SCXI 1125 » SCXI 1141 » NI 6052E

以下を想定します。

  • シングルポイント読み取り (平均化なし)
  • 周囲温度 = 25℃
  • SCXI-1125フィルタ = 10 KHz
  • SCXI-1125入力レンジ = +/- 10 V
  • SCXI-1141入力レンジ = +/- 5 V
  • NI 6052E入力レンジ = +/- 5 V
  • 「標準」vs.「最大」読み取り値の% = 「標準」
  • 前回のキャリブレーションからの期間 = 1年未満

 

ステップ2:コンポーネント絶対確度計算する

次に、各コンポーネントの絶対確度を計算します。

ゲインのある個々のデバイス (アンプまたはアッテネータ) に対して、指定された公称範囲について、NIは絶対確度をミリボルト単位で指定します。確度を計算する式は、誤差の表記法に基づいて3種類あります。以下にすべての式を示します。


1:

絶対確度 =± [(電圧読み取り値 x ゲイン誤差) + (電圧レンジ x オフセット誤差) + ノイズの不確かさ]


ここで:

  • ゲイン誤差 = 残差ゲイン誤差 + (ゲイン温度係数 x 前回の内部キャリブレーションからの温度変化) + (基準温度係数 x 前回の内部キャリブレーションからの温度変化)
  • オフセット誤差 = 残差オフセット誤差 + (オフセット温度係数 x 前回の内部キャリブレーションからの温度変化) +INL誤差
  • ノイズの不確かさ* = (ランダムノイズ x 3) ÷ (√100)

    *3σの包含係数、平均100ポイントの場合

上記の式のパラメータ値は、各コンポーネントのマニュアル、仕様、またはデータシートの記載を参照することで取得できます。



2:

絶対確度 =± [(入力電圧 x 読み取り値の%) + (電圧レンジ x オフセット) + システムノイズ +温度ドリフト]

 

ここで:

  • 入力電圧は、デバイスが構成されている電圧レンジです。たとえば、+- 10Vの場合、入力電圧 = 1です。
  • 読み取り値の%は、入力ゲインに基づいた未処理確度 (%) です。これはゲイン誤差を表します。
  • オフセットは最大オフセット誤差です。このオフセットはしばしば、%ではなくppm表記の場合があります。その場合は、1% = 10,000 ppmという換算で%単位に変換してください。
  • システムノイズは、デバイス自体によって測定に導入される誤差です。これはしばしば、フィルタ設定や、単一サンプルの採取/複数サンプルの平均化によって変わります。
  • 温度ドリフト** =± [(入力電圧 x 読み取り値の%/℃) + (オフセット%/℃)]*

    **これは周囲温度の変化による誤差を表します。 追加情報セクションのメモを参照してください

上記の式のパラメータ値は、各コンポーネントの仕様、マニュアル、またはデータシートに記載されている情報を参照することで取得できます。

3:

Cシリーズモジュールでは、動作温度範囲 (キャリブレーション済み最大値-40~70) 全体において、確度を特定できるように簡潔な仕様が提供されています。この確度値は、温度変化、最悪の場合のコンポーネントの許容値、温度ヒステリシスなどを考慮して定められています。

絶対確度 = ± [(入力読み取り値 x ゲイン誤差) + (レンジ x オフセット誤差) + 入力ノイズ]

 

ここで:

  • 入力読み取り値 - ユーザが測定しようとしている値
  • ゲイン誤差 - 入力ゲインに基づいた未処理確度 (%)
  • レンジ - デバイスが構成されている読み取り範囲。たとえば、0~10Vの場合、レンジ= 10です
  • オフセット誤差 - 最大オフセット誤差。データシートでは、%ではなくppmで指定されている場合があります。その場合は、1% = 10,000 ppmという換算を使用してください。
  • 入力ノイズ - デバイス自体によって測定に導入される誤差。 ​追加情報セクションのメモを参照してください。 使用する値の例については、以下の画像を参照してください。


上記のすべての仕様は、コンポーネントのデータシートまたは仕様に記載されています。

 

ステップ3:システム確度およびシステム確度RTI計算する

最後に、各コンポーネントからの絶対確度を使用して、システム確度入力換算 (RTI) システム確度を計算します。三平方の定理と同様、システム確度は、各コンポーネントの絶対確度の二乗和の平方根に等しくなります。

 

 

入力換算 (RTI) システム確度は、次のように計算されます。

 

 

追加情報計算例

  • ほとんどのCシリーズモジュールの確度を計算するためのアプリケーション (DC確度計算機) は、ダウンロードセクションに添付されています。
  • 周囲温度が15℃~35℃の範囲外でない限り、温度の影響は仕様値にすでに考慮されています。たとえば、測定システムの周囲温度が45℃の場合、10℃の温度差を考慮する必要があります。この場合、説明に使用した例では温度が25℃であると想定されているため、温度ドリフトには何も追加する必要はありません。
  • 入力ノイズ誤差はしばしば、フィルタ設定や、単一サンプルの採取/複数サンプルの平均化によって変わります。平均化を行う場合は、入力ノイズの影響は無視できます。平均化を行わない場合は、単位 (rms) に3を掛け算することで、入力ノイズを適切な単位 (電圧、電流など) に変換できます。係数3の乗算では、99.73% の信頼度でノイズがこの範囲で捕捉されるというガウス分布が想定されます。ノイズは、特に指定しない限り、ガウスノイズであると想定されます。
  • 端子台は、減衰回路が搭載されていない限りゲイン段とはみなされません。アンプが搭載されていないモジュールまたはDAQデバイスも、ゲイン段とはみなされません。

 

上記参照した設定におけるシステム確度計算例:

以下は、各システムコンポーネントの絶対確度の計算式です。

 

SCXI-1125の絶対確度

絶対確度 = ± [(入力電圧 x 読み取り値の%) +オフセット + システムノイズ + 温度ドリフト]
絶対確度 = ± [(10 V x 0.002478) + 0.01 V + 0.0191 V + N/A] = ± 54.88mV

 

SCXI-1141の絶対確度

絶対確度 = ± [(入力電圧 x 読み取り値の%) +オフセット + システムノイズ + 温度ドリフト]
絶対確度 = ± [(5 V x 0.0002) + 0.0006 V + 0.00142 V + N/A] = ± 3.02mV

 

PCI-6052Eの絶対確度

絶対確度 = ± [(入力電圧 x 読み取り値の%) +オフセット + システムノイズ + 温度ドリフト]
絶対確度 = ± [(5 V x 0.000071) + 0.000476 V + 0.000491 V + N/A] =± 1.322mV

 

システム確度

 

システム確度RTI

 

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