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測定システムしたDAQ​ソフトウェア選ぶには

概要

データ収集 (DAQ) デバイスには数多くの選択肢があり、アプリケーションに適したデバイスを選ぶことが難しい場合があります。このホワイトペーパーでは、ハードウェアを選ぶ際に考慮すべき5つのポイントについて説明します。

最適なDAQハードウェアを選ぶ際の5つのポイント

  1. どのようなタイプの信号を測定/生成する必要があるか
  2. 信号調節が必要か
  3. 信号のサンプルの収集/生成にどの程度の速度が必要か
  4. 信号から検出する必要がある最小の変化はどれくらいか
  5. アプリケーションでどの程度の測定誤差を許容するか

 

1. どのようタイプ信号測定/生成する必要あるか

信号の測定/生成の方法は信号のタイプによって異なります。センサ (トランスデューサ) は、物理的な現象を電圧や電流などの測定可能な電気信号に変換するデバイスです。また、測定可能な電気信号をセンサに送信して物理的な現象を生じさせることもできます。そのため、信号のタイプと特性について理解することが重要です。アプリケーションで扱う信号に応じて、どのようなDAQデバイスを使用するかについて検討を始めることができます。

DAQデバイスの機能

  • アナログ入力 ― アナログ信号を測定
  • アナログ出力 ― アナログ信号を生成
  • デジタル入出力 ― デジタル信号を測定/生成
  • カウンタ/タイマ ― デジタルイベントをカウント、またはデジタルパルス/信号を生成

上記の機能の1つのみに特化したデバイスや、すべての機能をサポートするマルチファンクションデバイスがあります。アナログ入力、アナログ出力、デジタル入力/出力、カウンタといった単機能に対して、固定のチャンネル数を備えたDAQデバイスを利用することができます。しかし、より多くのチャンネルが必要になった場合に必要に応じてチャンネル数を増やせるように、現在必要なチャンネル数よりも多くのチャンネルを備えたデバイスの購入を検討することをお勧めします。現在のアプリケーションに対応できる機能のみを備えたデバイスを購入した場合、ハードウェアを将来の新しいアプリケーションに適応させることは難しくなります。

マルチファンクションDAQデバイスのチャンネル数は固定ですが、アナログ入力、アナログ出力、デジタル入力/出力、カウンタの組み合わせが用意されています。マルチファンクションデバイスはさまざまなタイプのI/Oをサポートしているため、単機能のDAQデバイスでは対応できない数多くのアプリケーションにも対応できます。

別の選択肢として、正確な要件に合わせてカスタマイズできるモジュール式プラットフォームを選ぶこともできます。モジュール式システムは、タイミングと同期を制御するシャーシと、さまざまなI/Oモジュールで構成されます。モジュール式システムの利点は、独自の目的を持ったさまざまなモジュールを選択できるため、より多くの構成が可能になることです。この選択肢では、1つの機能をマルチファンクションデバイスよりも正確に実行するモジュールを利用できます。モジュール式システムのもう1つの利点は、シャーシのスロット数を選択できることです。シャーシのスロット数は固定ですが、現在必要な数よりも多くのスロットを備えたシャーシを購入することで、将来の拡張に備えることができます。

 

2. 信号調節必要か

一般的な汎用DAQデバイスは±5 Vまたは±10 Vを測定/生成できます。センサによっては、このタイプのDAQデバイスで直接測定するには困難または危険な信号を生成するものがあります。ほとんどのセンサでは、DAQデバイスが正確かつ効果的に信号を測定できるように、増幅やフィルタ処理などの信号調節が必要になります。

たとえば、熱電対の出力信号はmVレンジですが、A/D変換器 (ADC) の制限を最適化するために増幅を必要とします。加えて、熱電対による測定には、高周波ノイズを除去するローパスフィルタ処理のメリットがあります。信号調節によって、DAQシステムのパフォーマンスと測定確度の両方が向上するため、DAQデバイス単独と比べて明らかなメリットがあります。

表1は、さまざまなタイプのセンサや測定に使用できる一般的な信号調節の一覧です。

 増幅減衰絶縁フィルタ処理励起線形化CJCブリッジ構成
熱電対x  x xx 
サーミスタx  xxx  
RTDx  xxx  
歪みゲージx  xxx x
負荷、圧力、トルク (mV/V、4-20 mA)x  xxx  
x  xxx  
加速度計x  xxx  
マイクロホンx  xxx  
近接プローブx  xxx  
LVDT/RVDTx  xxx  
高電圧 xx     


表1.センサおよび測定のタイプに適した信号調節

表1に記載されているセンサを使用する場合は、信号調節の検討をお勧めします。外部の信号調節を追加するか、または信号調節を内蔵したDAQデバイスの使用を選択できます。また、多くのデバイスは特定のセンサに対応した接続機能も備えており、センサを簡単に統合できます。

 

3. 信号サンプル収集/生成どの程度速度必要か

DAQデバイスの最も重要な仕様の1つがサンプリングレートです。サンプリングレートは、DAQデバイスのADCが信号のサンプルを収集する速度です。一般的なサンプリングレートは、ハードウェアタイミングまたはソフトウェアタイミングのいずれかで、最大2 MS/sの速度です。アプリケーションに適したサンプリングレートは、測定または生成しようとする信号に含まれる最大周波数成分によって異なります。

ナイキスト定理では、測定対象の最大周波数成分の2倍でサンプリングすることで信号を正確に再構成できるとされています。しかし実際には、信号の形状を再現するためには、最大周波数の10倍以上でサンプリングする必要があります。サンプリングレートが信号の周波数の10倍以上であるDAQデバイスを選択することで、信号のより正確な形状を測定または生成することができます。

たとえば、アプリケーションで周波数が1 kHzの正弦波を測定するとします。ナイキスト定理によれば、最低2 kHzでサンプリングする必要があるとされていますが、信号の形状をより正確に測定または生成するには、10 kHzでサンプリングすることを強くお勧めします。図1では、2 kHzと10 kHzで測定した1 kHzの正弦波を比較しています。

1 kHzの正弦波を10 kHzで表現した場合と2 kHzで表現した場合の比較

図1. 1 kHzの正弦波を10 kHzで表現した場合と2 kHzで表現した場合の比較

測定または生成する信号の最大周波数成分に応じて、アプリケーションに適したサンプリングレートを備えたDAQデバイスを選ぶことができます。

 

4. 信号から検出する必要ある最小変化どれくらいか

信号から検出可能な最小の変化がどれくらいかによって、DAQデバイスに必要な分解能が決まります。分解能とは、ADCが信号を表現するために使用できるバイナリレベルの数のことです。具体例として、分解能が異なるADCを通過した正弦波がそれぞれどのように表現されるかを見てみましょう。図2では、3ビットのADCと16ビットのADCを比較しています。3ビットのADCの電圧は8レベル (23) に分割されます。16ビットのADCの電圧は65,536レベル (216) に分割されます。分解能が3ビットの正弦波は階段関数のように見えるのに対して、16ビットのADCによる正弦波は、よりはっきりと正弦波として表現されています。

 

16ビットの分解能による正弦波と3ビットの分解能による正弦波

図2. 16ビットの分解能による正弦波と3ビットの分解能による正弦波

一般的なDAQデバイスの電圧レンジは±5 Vまたは±10 Vです。表現可能な電圧レベルは、選択したレンジ全体に均等に分割され、分解能を最大限に活かすことができます。たとえば、±10 Vのレンジで、12ビットの分解能 (レベルを212、つまり4,096に均等分割) を備えたDAQデバイスは、5 mVの変化を検出でき、16ビットの分解能 (レベルを216、つまり65,536に均等分割) を備えたデバイスは、300 µVの変化を検出できます。アプリケーション要件の多くは、12、16、または18ビットの分解能を備えたデバイスで対応できます。しかし、センサの測定で電圧レンジの小さいセンサと大きいセンサを一緒に使用している場合は、24ビットデバイスで利用できるダイナミックデータレンジのメリットを活かせる可能性があります。アプリケーションに必要な電圧レンジと分解能は、最適なデバイスを選ぶ上で主要な検討事項となります。

 

5. アプリケーションどの程度測定誤差許容するか

確度とは、計測器が測定対象の信号値を正確に示すことのできる能力と定義されます。この用語は分解能には関連していませんが、確度が計測器の分解能値より大きくなることはありません。測定確度の表し方は、測定デバイスのタイプにより異なります。理想的な計測器であれば、常に100%の確実性で真の値を測定しますが、現実の計測器は、製造元が規定している不確かさで値を報告します。不確かさは、システムノイズ、ゲイン誤差、オフセット誤差、非線形性といった多くの要因に依存する可能性があります。製造元の不確かさの一般的な仕様となるのが、絶対確度です。絶対確度は、特定のレンジにおいてDAQデバイスで生じる最悪の場合の誤差を示します。NIのマルチファンクションデバイスでは、絶対確度はたとえば以下のように計算されます。

絶対確度 = ([読み取り値 x ゲイン誤差] + [電圧レンジ x オフセット誤差] + ノイズの不確かさ)
絶対確度 = 2.2 mV

計測器の確度は、計測器だけでなく、測定する信号のタイプにも依存することに注意してください。測定する信号にノイズが含まれている場合、測定の確度は低下します。DAQデバイスでは、さまざまな確度や価格帯のものが幅広く提供されています。デバイスによっては、確度を向上させるためにセルフキャリブレーションや絶縁その他の回路を備えているものがあります。基本的なDAQデバイスには絶対確度が100 mVを超えるものがありますが、そのような機能を備えたより高性能なデバイスには、絶対確度が約1 mVのものがあります。確度の要件を理解した上で、アプリケーションのニーズを満たす絶対確度を備えたDAQデバイスをお選びください。

 

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