NI製品利用電力品質監視/分析するメリット

概要

問題を解決するための第一歩は、対象となる事象を計測することです。再生可能エネルギー、プラグイン車両、インバータ、オングリッド貯蔵システム、HVDCなど、グリッドには多くの変化が起こっています。そして従来の計測技術が開発された際には予想もできなかったような影響を電力品質にもたらしています。NI技術をベースに開発された電力品質計測器​では、これまで分析することが難しかった電力品質を定量化することが可能です。このホワイトペーパーでは、NI技術を利用した電力品質アナライザと電力品質監視機器の3つのメリットについて説明します。

内容

グリッドから品質データ収集

使用する計測コンポーネントのサンプルレート、分解能、確度は非常に重要ですが、さらに重要と言えるのが、それらを計測システムの組込ハードウェアの設計に組み入れることができるかどうかです。 NIは、計測システム用のボードレベルハードウェアの設計分野で40年の実績があります。現在で年間30,000社を超える顧客企業に対して質の高いI/Oハードウェア、ドライバ、サポートを提供しています。

電力アプリケーションに使用されている多くの計測モジュールは、毎秒最大50,000サンプルをサンプリングする24ビット分解能のコンバータ設計に基づいています。 (それぞれ1000/833.33サンプル/サイクル@ 50/60Hz)  高品質な波形計測では、サンプルレート、分解能、アンチエイリアスフィルタ、入力ノイズがすべて考慮に入れる必要があります。

品質測定の結果は、その分野の専門家が利用できるようにできて初めて役に立つものです。 NI技術に基づいて構築された計測システムなら、未処理の波形データへのフルアクセスとプログラミングが可能です。 一般的なNIベースのシステムは、PTまたはCTから50,000サンプル/秒でデータを収集します。収集されたデータは、多くの場合、電力計算用に一定数のサンプル/サイクルに変換するために、フィルタリングして再サンプリングされます。 他の一般的な計測器は、計算後のデータと、場合によっては記録用に波形ポイントの一部を出力しますが、NIベースのシステムでは、計算結果の他にも、再サンプリング後の波形データやサンプリング前の波形 (生データ) など、すべての情報にアクセスできます。 どのデータを処理、記録、報告、破棄するかは、すべてその分野の専門家が自由に決められます。 このような機能は、研究室でPCを使用してシミュレーションするような環境では一般的ですが、NI技術を利用すれば、堅牢なフィールド展開可能なシステムでこのような機能を利用することができます。

図1: NI技術に基づいて構築されたインテリジェントな電子装置は生の波形データにアクセスできるため、フォレンジック解析や検出アルゴリズムの開発に役立てることができます。

将来ニーズ対応したアップグレード可能

将来の問題が現在の問題とは異なるのと同様に、将来、現在行っている計測とは異なる計測を行いたくなる可能性があります。 NIのハードウェアを使って構築した電力品質アナライザと電力品質モニタは、LabVIEWやC/C++(FPGAの場合はLabVIEWのみ)を自由に組み合わせてプログラムすることが可能で、また、実装した後でもイメージを変更することができます。 つまり、新しい問題を検出するために新しいアルゴリズムを実装した場合でも、新しい装置を購入して設置する必要がありません。

将来、ハードウェアを現場に設置したまま、すでに内蔵されている、以下のようなソフトウェアで設計する機能を有効にすることができます。

  • 最大100次超の高調波ノイズの検出
  • 故障を再サンプリング後または生の高速波形データとともに記録する
  • 標準の低下/増加/割り込みイベントの検出
  • メータリング
  • フリッカーの検出
  • カスタム

LabVIEW Electrical Power Toolkitには、「カスタム」を除く上記のすべての機能に対し、LabVIEW関数(VI)が用意されています。

カスタムアルゴリズムアラーム生成可能処理能力

CompactRIOコントローラは、667 MHzクロック/コアのデュアルコアARM9から1.91 GHz/コアのクアッドコアIntelプロセッサまで、さまざまなプロセッサに対応しています。 さらに、CompactRIOの各プロセッサはFPGAに接続が可能なので、制御/コプロセッシング機能も実装可能できます。 このような処理能力を搭載することで、より多くの電力品質解析関数を1つの装置に統合できるだけでなく、電力の専門家や研究者が現場で実行できるアルゴリズムを増やし、情報源をより速く収集することが可能になります。 アルゴリズムの開発は、欠陥の検出後に収集した大量のデータとスプレッドシートを使用して行われることが多く、根本的な原因を法科学的調査で特定するのに数か月もかかる場合があります。 NI技術で実現可能な処理能力を利用すれば、中枢で開発されたアルゴリズムの一部をグリッドに転送して、問題が発生する前に検出できるようにしたり、最高値のデータポイントで警告を通知することで、故障の根本的な原因を特定するのにかかる時間を短縮することが可能です。 CompactRIOは、アルゴリズムのエンジニアリングに理想的なプラットフォームです。

 

まとめ

送電、配電、発電技術は変化しています。そのためにグリッドの設計や品質の影響の評価が難しくなっています。 ソフトウェアを中心としたプラットフォーム方式は、インテリジェントなグリッド装置を使用してグリッドの変化や課題に対応するための最適な方法です。 CompactRIOやLabVIEWなどのNIツールは、送配電計測アプリケーションに特化した設計機能を持つプラットフォームをベースに開発されています。