Michael Fortenberry、G Systems, Inc.
Lockheed Martin Aeronauticsは、「アイアンバード」とも呼ばれるF-35に搭載された航空機サブシステム統合テストの監視を目的とした飛行システム統合設備 (VSIF) で使用する、統合システムを必要としていました。この統合システムは、アナログ、デジタル、ビデオ、およびリフレクティブメモリを介して他のシステムから転送された追加データを含むさまざまなタイプのデータを収集する役割を持つものです。要件には、リアルタイムの表示機能、およびトランスデューサのセットアップからデータ管理に及ぶすべてのシステムコンポーネントを簡単に管理できる機能が含まれていました。
G Systemsは、柔軟性の高いソフトウェアを開発するととともに、既製のNIのハードウェアやその他のサードパーティツールを使用して、Lockheed Martinの初期要件を十分に満足する多チャンネル型のシステムを開発しました。PXIプラットフォームの拡張可能な特性により、初期のシステム要件を60パーセントも上回るチャンネル数の増加にも対応できました。
図2に、VSIF多チャンネル型データ収集システムの一般的なアーキテクチャを示します。このシステムでは、必要なシステム性能が得られるよう、システムを複数のサーバに分散する負荷バランシングを採用しています。私たちは、システムの将来的な拡張に備えて、6つの主要なカスタムアプリケーションを含む分散型ソフトウェアアーキテクチャを構築しました。
アナログおよびデジタルデータの収集のため、さまざまなNIデータ収集モジュールを収容したPXIシャーシを5台使用して、システム全体で合計640のアナログチャンネルと480のデジタルチャンネルを装備しました。 種類が異なるデータ収集ボードを組み合わせてもボード間の時間同期を維持できるので、それがシステム全体のハードウェアコストの抑制に大きな効果がありました。多チャンネル型分散システムでの時間同期は、VSIFデータ収集システムまたはVSIFラボ内の別のソースが提供するIRIG時間信号を使用して維持されます。
アナログおよびデジタルデータを収集するアプリケーションは、GPIB制御の外部DCソースを使用して、PXIボードの検証、内部および信号経路の校正も行います。この信号経路校正の自動化により、システム検証を20分以内に自動的に完了できるようになりました。このような作業を従来のシステムで実行しようとすると、オペレータの操作も含めて数時間を要することでしょう。
工学単位 (EU) で表示されるすべてのデータは、アナログ/デジタルコンバータ、信号調節モジュール、トランスデューサの校正値を考慮し、また必要に応じてゼロのヌル値を表示します。生成チャンネル (他のチャンネルの情報から計算されるチャンネル) では、W=V×Aなども計算することができます。さらに、システム内のユーザ定義の外部DLLにリンクする内蔵インタフェースを用意したので、より複雑な生成チャンネルの作成のためにソフトウェアを再コンパイルする必要はありません。
VSIFデータ収集システムの構成情報はリレーショナル・データベースに保存します。私たちは、システム管理者がデータ収集システムのあらゆる側面を構成する際に使用するカスタムのグラフィカルユーザインタフェース (GUI) を開発しました。これには、次のものが含まれます。
アプリケーションには、システム管理者が膨大な数のチャンネルを取り扱えるよう、列ソート/フィルタ処理、チャンネルグループ定義、マルチレコード編集、コピー/貼り付けなどの機能を追加しました。ユーザ権限があればどのユーザもシステム構成を表示できますが、値の変更は権限のある管理者に限られます。さらに、複数の管理者向け権限レベルを用意して、ユーザに対して詳細に定義した権限を付与できるようにしました。
統合テストを実施している間、数多くの異なるユーザグループがさまざまな航空機サブシステムをテストするため、固定された単一の表示ではVSIFデータ収集システムの要件を十分に満たことができませんでした。そこで私たちは、ユーザが構成できるダイナミックなデータ表示アプリケーションを開発しました。その結果、どのユーザもインジケータオプションを選択して、データをカスタム表示できるようになりました。
このアプリケーションは高度なナビゲーション機能をサポートしているため、データをリアルタイムで瞬時に表示したり、以前のテストのログ記録データを呼び出して表示したりすることができます。また、トリガやアラームを設定すれば、関心のあるデータすばやく発見することもできます。
個々のユーザが設定した構成情報はすべてデータベースに保存され、この情報はテストデータとともにエクスポートして、スタンドアロンでのレビューや再生に使用することができます。この機能により、複数の実施テストから、すべての校正およびトランスデューサ情報を含めてテストデータのスナップショットを取得し、メインのVSIFデータ収集データベースから切り離して使用することができます。これは、オフライン解析や発表を行う際に便利です。
図6に示すテスト制御/監視/再生アプリケーションには、ユーザ向けの動作モードが複数用意されています。システムにより常時収集されたデータは、「低分解能」形式で6つのクライアントワークステーションに公開されます。受信された公開データセットは、ローカルクライアントに30分のローリングバッファで連続的にバッファリングされます。このバッファがあることで公開またはログ記録されたデータを後から見ることができ、また必要時にはリアルタイムでの再生も可能です。
オペレータがデータのログ記録を選択した場合、「高分解能」データがファイルにログ記録され、その後セントラルレポジトリに転送されます。このような実施テストは、ワークステーションにダウンロードして再生モードでデータをより詳しく確認することができます。ユーザはデータをリアルタイムで再生したり、複数のナビゲーションオプションを使用して、ログ記録されたデータのタイムラインに沿ってナビゲートしたりすることができます。
ログ記録されたすべてのデータは、VSIFデータ収集システムで制御と保護が行われます。実施テストのログ記録を開始すると、データは収集サーバからセントラルデータストレージユニット (RAID) に自動的に転送されます。ユーザはRAID内のテストデータの確認はできますが、データを削除することはできません。データ表示/データ解析のエクスポートアプリケーションは両方とも、RAIDにあるデータ、またはアーカイブされたデータセットのデータのいずれかを直接呼び出すことができます。つまり、比較的経験の浅いユーザでも、最小限のVSIF専用トレーニングを受けるだけで、過去にログ記録されたデータを簡単にレビューすることができます。
VSIFデータ収集システムでは、DIAdem解析パッケージまたは単純なASCIIテキストファイルにデータをエクスポートするカスタムDIAdemデータインタフェース (DDI) アプリケーションにより、高度な解析機能を利用することができます。DDIは、データ表示アプリケーション用に開発したデータベースインタフェースと工学単位変換機能をすべて活用して、OLEインタフェース経由でデータを直接DIAdemに供給します。このアプリケーションによりユーザは、実施テストとチャンネルを簡単に選択してDIAdemにエクスポートして、複数の実施テストからのデータを結合できるようになります。
G Systemsは、高度なソフトウェアアーキテクチャと再構成可能で柔軟なハードウェアを使用して、Lockheed Martin Aeronauticsに対し高度に構成可能、拡張可能な多チャンネル型システムを提供しました。このシステムは、F-35飛行システム統合設備の現在と将来の要件に対応することができるシステムです。
このデータ収集システムは、24時間年中無休で15年近く運用した後でも確実に機能しています。ただし、他のハードウェア/ソフトウェアシステムと同様、陳腐化を避けるためシステムのアップグレードが必要になります。VSIFデータ収集システムは、専用のテクノロジではなく既存のテクノロジを使用して設計されているため、アップグレードはLockheed Martinにとってスムーズなプロセスで完了しました。