Jaguar Land Rover社、NI Big Analog Dataソリューションにより、最大95パーセントのデータを解析

投稿​者:

Simon Foster - Jaguar Land Rover
Pablo Abad - Jaguar Land Rover

Jaguar Land Rover (JLR) は、その頑丈な造りと高級感で知られる英国の象徴的なカーブランド2つを代表する会社です。お客様が求める品質と信頼性を確保するため、高度な設計、エンジニアリング、テクノロジを特に重視しています。したがって、英国におけるどのメーカーよりも研究開発への投資を行っています。

当社のパワートレインキャリブレーションおよび制御部門は400名を超えるエンジニアを抱えています。この部門にとって、こうした投資は、NIの新しい戦略とソリューションの実装という形を取ります。大量の未処理テストデータの収集と管理の方法を改善し、完成車を市場に投入する前により賢明な決断を下せるようになることが目標です。

より有益なデータにアクセスしやすくなることで、十分な情報に基づいた決断を下すことができます。それは車の製造において不可欠なことであり、結果的に、JLRの評価を高め、何よりも、当社が定める高い水準を満たす製品をお客様に提供できることにつながります。

日々最大500 GBの時系列データを管理するにあたり、明確な結果を適切に得ることができず、テストを繰り返すことも少なくありませんでした。従来の解析ルーチンは手動によるプロセスに基づいていましたが、チームの推定によると、完全に自動化された解析ルーチンである現在のソリューションと比較してみると、当時は20倍の時間を要していたということです。従来、複数の解析ツールを使っており、それらすべてがアルゴリズムの実装に特別なスクリプトを必要としたため、メタデータやチャンネル名などを含めて、標準化がまるでできていない状態でした。

このプロセスで車のテストを行うと、取得したデータのたった10パーセントしか解析することができませんでした。1台のテストデータのほんの一部しか把握できないということは、重要な情報が欠落するリスクが生じるということです。これは設計プロセスの非効率性と費用がかさむ遅延を招くことにつながります。

テクノロジ

このBig Analog Data (ビッグアナログデータ) の課題を解決するため、当社の用途に最適なプラットフォームを決めようと9つのツールを評価しました。システム要件は、アップロードの自動化、複数ソースからのメタデータの結合、最初に保存されなかったメタデータの追加、メタデータからのファイル検索が可能なことでした。また、エンジニアが独自にあらかじめ定義したルーチンやカスタムのアドホック解析を実行できる対話式ツールも必要でした。選択したファイルに対する解析、あるいはバッチプロセスでの解析を実行できることも要件の一つでした。一貫性と信頼性のあるレポートを作成して意思決定をスムーズにするために、レポートのテンプレートも必要でした。最終的に、このプラットフォームは既存データ収集プロセスに組み込む必要があり、将来的にJLRの他部門にまで拡張できることも重要でした。

9つのツールを評価した結果、ソリューションの構築に使うツールは、上記に述べたような基準に加え、さまざまな理由から、DIAdemソフトウェアとDataFinder Server Edition (SystemLink™ TDM DataFinderモジュールという名前に変更) に決定しました。決め手となった理由は、DataFinder Server Editionではメタデータのインデックスを作成できることでした。これにより、特定のテスト結果を検索するためのクエリを送信することが可能になります。DIAdemについては、1,000種類以上のファイル形式をロードできるという点が決め手になりました。これで、データ収集プロセスに変更が生じたとしても、当社のデータ解析プログラムとの互換性について心配する必要がなくなります。また、対話形式で解析ダッシュボードを作成することもできます。この操作では、プログラミングは不要で、複数のファイルからデータを選択してロードする必要もありません。

車のテストでは、さまざまなデータ収集デバイスから多様な方法でデータを収集します。データロガーを使ってテストドライブ中にセンサから情報を収集する場合でも、ノートブックPCを直接車両に接続して、CAN、MOST、FlexRay、あるいはECUプロトコルのCCP、XCP、ETKを使ってネットワークデータを収集する場合でも、収集データは自動的にデータ解析プロセスに転送され、正しいメタデータのチェックが行われます。複数のソースのメタデータが相互参照され、不足しているパラメータ (平均温度、速度、MPGなど) が算出されます。その後、これらのパラメータがDataFinder Server Editionに基づいたサーバに保存されます。

この時点で、JLRのエンジニアは誰でも、データをクエリし、指定したパラメータに合致するすべてのテスト結果に対して解析ルーチンを実行することができます。データには異なるタイプの解析を適用できます。エンジニアは、あらかじめ定義した解析ルーチンを使って、何千個ものファイルに対してバッチプロセスを実行することもできますし、詳細な調査が必要となるデータに対してアドホック解析ルーチンを作成することもできます。どのような解析ルーチンの結果も、テンプレートを使ったレポート形式のため、データに基づいた意思決定をすばやく下すことができます。

このソリューションを開発/実装して1年も経たないうちに、最大95パーセントのデータ解析率が見込めました。テストの再実施が不要になったおかげで、テストコストと1年に実施するテスト数を減らすことができました。

こうしたメリット (ここで言及していないものも含めて) のおかげで、完成車がお客様の手に渡るまでに、より多くの問題を見つけて、解消することが可能になりました。結果として、製品が強化されたため、お客様の満足度は以前よりも高くなりました。

投稿者​情報:

Simon Foster
Jaguar Land Rover
sfoste31@jaguarlandrover.com