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Csaba Fodor氏、上級テストエンジニア&プラットフォーム責任者、GN Audio社
Christian Wolf氏、グローバル製造テスト担当マネージャ、GN Audio社
課題-テストカバレッジ、開発スケジュール、全社規模でのデータ共有という要件を満たし、今後一層の複雑化と数量増加が見込まれるDUTに対応すること。
ソリューション-NIの測定用ハードウェアとTestStand、CIM.ASのCATSソフトウェアをベースにして、20種類超の製品に対応する標準化テストプラットフォームを開発し、世界各地6箇所の生産拠点にデプロイした。
成果-新製品が複数追加されたことによってテストカバレッジが2.5倍に拡大したにもかかわらず、テスト開発の期間を数か月から数週間にまで短縮した。さらに、会社全体、さらにサプライヤにいたるまで、テストデータへアクセスできるようにした。
生まれた価値-開発時間の削減、データ解析時間の短縮、テスト不合格率の変化の迅速な検出。
GN Audio社は、一般消費者向け電子機器であるJabraの生産ラインのために新たな製造テストプラットフォームを必要としていました。このプラットフォームでは、開発工程を短縮できるよう、テストカバレッジの拡張に対応することが求められました。
GN Audio社が選んだのは、NIとCIM.ASのCOTSハードウェアおよびソフトウェアから成るソリューションです。その結果、テストカバレッジの拡張要件を満たし、開発期間を数か月から数週間に短縮できました。現在、このテストシステムは、世界各地に6箇所ある生産拠点にデプロイされています。
GN Audio社は、エンジニアリングコミュニケーションと音響ソリューションの業界リーダーとして、消費者や事業者の力になるための革新を続けています。GNグループの一員として、人々がより多くの音を聴き、より多くのことを成し遂げ、それまで不可能と思われていたことを実現できるように支援することが弊社の使命です。サウンドとビデオを通して、私たちは人々の生活を変えます。卓越した技術で、Jabraは先頭を走り続けています。この150年間に開拓者として成し遂げてきた仕事を土台にして、さまざまな機能を統合したヘッドセットやコミュニケーションツールを開発し、プロフェッショナルの生産性向上を手助けしてきました。弊社がお届けするワイヤレスヘッドフォンやイヤホンによって、人々は会話、音楽、メディアをよりエンジョイし、先駆的なビデオ会議ソリューションによって地理的に離れたチーム同士がシームレスな協同作業を実現しています。
1869年創業のGNグループは100ヶ国で活動し、イノベーションを起こし、信頼性を培いながら、使いやすさを提供しています。今日、GNは6,200人の従業員を擁し、Nasdaq Copenhagenに上場しています。GNは人生を豊かにする音をお届けします (GN makes life sound better)。
消費者の要望はここ数年で進化し、ステータスシンボルであると同時に機能的デバイスでもあるという「プレミアム」な電子製品を求めるようになってきました。そうした中、競争力を維持するには、一段と高い品質基準を満たし、より多くの機能を備え、しかも手頃な価格で入手できるようにする必要があります。たとえば、弊社は小型ワイヤレスイヤーパッドを発売して、新たな市場カテゴリを創出しました。その際に、この製品のオーディオ品質を、弊社のラインアップにある大き目サイズの製品と同じレベルにする必要があったのです。HD品質の音楽、高信頼性ワイヤレス、長寿命バッテリは、かつて製品の差別化要因でしたが、今では当たり前になっています。
これまでGNは、高性能補聴器の設計において幅広い経験を積んできました。この経験を活かして、弊社の研究開発エンジニアが取り組んで見事に解決し、製品化した課題があります。それは、複数個のマイクロホン、加速度計、プロセッサ、無線機を極小のパッケージに組み込んだことです。
弊社から出荷するあらゆる製品に目を配り、正しく動作させるために、テストエンジニアにかかる負担は大きくなっています。また、オーディオデバイスの品質が高まるにつれて、音響テストステーションの複雑化と高精度化が進んでいます。数十秒という時間内で完了すべきテストの仕様には、次のステップが含まれます。
デバイス通信のテスト
近傍磁界誘導テスト
Bluetoothペアリング
バッテリテスト
音響トランスミッタのテスト (複数回)
音響レシーバのテスト (複数回)
マイクロホンのキャリブレーション (複数回)
レシーバのキャリブレーション (複数回)
ユーザインタフェース (UI) のテスト (ボタンおよびLED)
GNの音響テストプラットフォームを使って80を超える種類の製品と類似製品をテストしました。さまざまな要件に対応するには、さらに高度なシーケンスとオートメーションが必要でした。製造テストチームは、複雑性を増すテスト、測定精度と再現性の高度化、オートメーションの深化、データ共有簡素化の必要性という課題に直面したのです。
従来のテストソリューションは、社内で開発されたプラットフォームであり、10年以上も機能を追加しながら改良を重ねてきました。この戦略は、会社にとって負担になりつつあることはわかっていました。測定タイプやWindows OSとの統合など、新たな機能性を導入することが困難でしたし、バグフィックスに時間がかかり過ぎ、スタッフ研修は長時間かつ非効率でした。
そこで弊社は、工程設計、解析、レポート作成などの標準的な作業で、可能な限りCOTSハードウェアおよびソフトウェアを使うという戦略に移行しました。テストのエキスパートから提供されるツールをこれらの作業に利用したことで、弊社チームはDUTに特化したテストの作成と実行に注力できるようになりました。そして、それこそがチームの最も得意とすることだったのです。DUTはさらに複雑化していきます。ビジネスの要求に応えようとするならば、できる限り高いレベルからテストステーションの構築を始めることがとても重要です。
この戦略によって開発期間を短縮し、テスト品質と再現性を高めて、保守作業の負担を軽減しながら、将来に備えて柔軟性を確保することができたのです。また、特定の分野に関して、以前ほど高いレベルの専門知識はチームのエンジニアにとって必要でなくなりました。その結果、人材の採用も楽になり、社員は広範囲のさまざまなプロジェクトで働くことができるようになっています。
音響テストは、無響室内部で空気伝播により実行されます。各テスト装置は、DUTごとに独自の構成になっています。ただし、可能な限り共通のコンポーネントセットを使用しているため、世界各地の生産拠点での維持管理は容易です。GRASのスピーカとマイクロホンは、人造の口と耳として構成され、製造時の確度と信頼性を確保します。いずれもマイクロホンの電源供給を介して、テストシステム内部に統合されたNI DAQボードへと接続されています。
NI DAQハードウェアは、製造テストアプリケーションの業界標準であると、私たちは考えます。NIソフトウェアと密接に統合されているため、弊社のカバレッジ要件にいつでも対応できます。NIのツール群は業界でよく知られているので、新規雇用者やコンサルタントでもすぐに仕事に取り掛かれます。これが、スケジュールの短縮や開発品質の向上につながっています。
テストステーションの機械的インフラや装置部分も社内で開発し、メンテナンスも自分たちで行っています。これらに必要なスキルセットを自社チームが持っているからです。こうして私たちはテストをすべてカスタマイズしながら、各ステーションに必要な投資を最小限に抑えています。
弊社のソフトウェア戦略にとって重要なことは、再利用です。必須のテストの多くは共通していて、必要なのは周波数レンジの調整くらいです。一方で、まったく新しい測定方法を必要とする新規のDUTも増えています。目下の開発を効率化し、安定した運用を確保するために、弊社は拡張性に優れたソフトウェアアーキテクチャを開発しました。これはCOTSツール群を活用し、さまざまな測定を追加したり再利用したりできるものです。
弊社が使用したソフトウェアツールは次の通りです。
TestStand-私たちが選んだのは、この業界標準シーケンサです。そのプロセスモデルとプラグインアーキテクチャによって、カスタマイズが容易に、そしてスピーディーになります。NI TestStandは、そのビルトインの並列テスト実行とレポート生成機能によって新たな可能性を広げてくれます。
CIM.AS製のCATS-オーディオテスト用ソリューションであるこのソフトウェアを選んだ理由は、開発期間を短縮し、解析アルゴリズムの品質を確保できるほか、新たに導入された機能によってテストカバレッジを改善できるからです。CATSは、信号生成、解析、結果データのロギング、測定システムのキャリブレーションに使いました。
LabVIEW-このテスト用エンジニアリング開発環境によって、データ収集、データ通信、GUIデザインが可能です。LabVIEWを選んだ理由は、開発スピードの速さ、ハードウェアとの緊密な統合、そして広大なエコシステムを構成する他のソフトウェアツール群との相互運用性です。
ソフトウェアツールを正しく組み合わせて共通のタスクとアーキテクチャを抽出したことで、弊社テストチームは、DUT作業に特化した各自の知識を駆使し、高確度で高い再現性を持つテストの設計に注力できるようになりました。
今後数年間、生産量の増加が見込まれるため、一層高いレベルで自動化を進める必要があります。このように自動テストの導入が進むにつれて重要度を増すのが、標準プロセスの抽出とアウトソーシングです。弊社エンジニアリングチームは、予算額と人員数を慎重に考慮しながら、今後さらに多くの課題と向き合うものと思います。
製造テストステーションのデータを活用したいという要望が社内全体で高まっています。普段テスト作業やテスト開発を担当している部署のほかに、市場動向担当エンジニア、設計検証担当者、オーディオエンジニアリング担当者、そしてハードウェア設計エンジニアが、テストデータを各自の仕事で使いたいと言っています。弊社の製造用テスタ群から、毎日5 GBを超えるテストデータが生成されます。つまり、社内全体でTB単位のデータが生まれているのです。これを適切に管理しないと、データの仕訳ミスや誤用、誤解を招きやすくなります。
データの使い方は部署ごとに異なるので、ダッシュボードや検索オプションも数種類用意しなければなりません。これらの要件を満たすため、テストエンジニアリング担当部署は、共通のデータ形式、保管方法、コミュニケーション方式を採用しました。現在、全社どの部署でもテストデータから独自にレポートを生成できます。テストエンジニアリング担当者に頼んでデータを手に入れる必要はありません。これは、テストチームにとっても大きな時間の節約です。いつでもデータを効果的に利用できるようになり、テストエンジニアリングが会社全体に価値を生み出し、現行製品と新製品両方の設計において品質の向上に貢献しています。
このプロジェクトが成功した理由の1つは、企業の枠を超えて協力し合う、数社から参加したエンジニアのコミュニティがあったからです。車輪の再発明 (reinventing the wheel)、つまり既存の物や技術と同じものを自分自身でゼロから作り出すことは、気が滅入り、非効率的です。しかも、自分がシフトレバーを設計している最中に、パートナーが勘違いして車輪を届けてくれたとしたら、これも同じく気が滅入ります。
CIM.ASとのパートナーシップでは、製造テストと音響テストを専門とするエンジニアのグループがいて、弊社のビジネス、アプリケーション、そしてテストカバレッジを理解しようと時間を費やしてくれました。NIとCIM.ASは一緒になってツールを提供し、相談に乗ってくれました。そのおかげで、常に最新の技術に触れることができ、私たちの目標達成の支えにもなったのです。
CIM.ASは、音響と電気のテストステーションを数十年間も設計し、構築してきた経験があります。彼らの信頼できるエンジニアリングサポートのおかげで、私たちはスケジュール通りに自信をもって高品質テストステーションを世界各地の生産拠点に配置することができます。