SkySafe社最高技術責任者(CTO)、Scott Torborg氏
高性能かつ低コストのワイヤレス制御ドローンが登場したことで、悪意のある行為者が混乱を招くような運用を容易に実行に移せるようになった。先頃、ヨーロッパの報道機関が報じたように、空港へのドローン侵入もその一例である。このような安全上の問題を受けて、高性能化によって急速に進化し、これまでにないほど頻繁に脅威をもたらすようになったドローンに対して、防衛システムの必要性が叫ばれるようになった。
SkySafe社は、オープンで柔軟なEttus Research USRP X310上で最先端のソフトウェア無線(SDR)ベースの機能を開発することで、増大する低コストドローンの脅威に対抗した。NIのUSRPソフトウェア無線デバイスで迅速な試作および実装ができるようになったことで、業界最高レベルの機能をスピーディに現場に提供し、政府に対してコストの大幅な削減を実現した。
技術関連ニュースでドローンの記事を見かけない日はほとんどありません。Amazonが配達にドローンを使用することを検討中であるとか、自動化されたドローンでオリンピックのスノーボーダーを追いかけた素晴らしい空撮動画が公開されるなど、商用ドローンは一般的になりつつあります。ドローンの出現は、スポーツ放送や、野生動物保護の調査など、幅広い方面で役立っています。高度なインテリジェントソフトウェアを備えたことで、より安価で使いやすくなり、様々な操作が可能になりました。画期的な技術がいつもそうであるように、ドローンの運用も、良からぬ目的で利用しようとする悪意のある行為者を引き付けてしまうことがあります。無人の商用ドローンが好ましくない偵察のために使用されたり、先頃英国で起きた事件のように、領空の混乱を招いたりすることさえ報告されるようになってきました。
幸いなことに、ドローン防衛システムを開発して、これらの悪意のある行為者に対抗しようとする人はたくさんいます。ほとんどのドローン防衛システムは、技術を駆使して、脅威を検出し、排除します。これらのシステムではアクティブ型とパッシブ型の両方のレーダを使用し、多くは光学検証を利用します。対応策は様々で、非破壊的な通信傍受やGPS電波妨害、弾薬や高出力レーダなどの破壊的な防衛手段といったものがあります。
インテリジェントな商用ドローンが毎年新たに登場し、より高度なコマンド&コントロール(C2)や、高性能なナビゲーションシステムが実現しています。今日では、ドローンにアクティブな物体回避機能や自律モードが装備されていることは珍しくありません。ドローンが直接操縦の制御を受けていないときは、C2対策が難しくなります。そのため、スプーフィングまたはジャミングのいずれかを使用してGPSを妨害または拒否するのが一般的です。アクティブなリモート操縦機能を持つドローンでは、基本的なアナログ変調から、暗号化されたコマンドを使用する安全性の高いデジタルリンクまで、様々な通信方式が使用されます。従来の高出力ジャミング技術を検討されることが多いかもしれませんが、 それは友軍に大きな混乱を生じさせたり、ステルス操作を危険にさらす可能性もあります。多くの国で、規制上の支障に対処する必要があることは言うまでもありません。広範囲にわたるC2の妨害方法に対処できるように単一の防衛システムを適応させるのは重要な課題です。
まず、技術進歩に後れをとらずに、新しい脅威に対する対策を迅速に実行するにはどうすればよいでしょうか。従来の米国防総省(DoD)の長いプログラム開発サイクルでは適応できないことがあったため、多くのシステムが、迅速な開発が可能な商用オフザシェルフ技術に移行しました。そうすれば、システム設計者がハードウェアの実装ではなく脅威への対策に専念できるからです。
次は、モビリティの問題です。基地の保護も重要ですが、軍事オペレータは遠隔地にある車両に対して効果的な対抗ソリューションを講じる必要があります。多くの場合、カメラと革新的な妨害手段を搭載した、大規模レーダシステムを収容できるような贅沢な機能は、車両に備わっていません。モバイルシステムは、ステルス性とミッションでの長い運用年数を維持する必要があるため、SWaPを必要とすることが多くあります。試作から実装まで対応し、SWaPと無線の性能基準を満たすことができるプラットフォームを選択することが重要です。
SkySafe社は米国を拠点とし、世界クラスの非破壊的ドローン防衛および空域統制ソリューションを提供するというミッションを掲げた革新的な企業です。高度な無線技術と脅威の徹底解析によって、軍事、公共の安全、および商用のお客様に対して包括的な空域認識および統制ソリューションを提供します。SkySafeソリューションは、一般的な多くの脅威であるC2およびナビゲーションシステムを妨害する、非破壊的な対策を採用しています。また、SkySafeソフトウェアは、ナビゲーションのダウンリンクレポートを傍受し、ドローンの位置を受動的にリアルタイムでオペレータに表示することが可能です。規制領域は進化しており、SkySafeでは、軍用のドローン防衛アプリケーションに焦点を当て、DoD契約に基づいたソリューションを提供しています。
技術の進歩とSWaPの課題の両方に対処するため、SkySafe社はNIの商用SDR技術を使ってシステムを構築しました。NIのSDRとオープンソースソフトウェアを組み合わせることで、新しいアルゴリズムを簡単に実装できるようになり、進化する脅威に迅速に対処できます。つまり、新しい機能を実装する際の時間とコストが削減されます。SkySafeソリューションの有効性の鍵は、独自の革新的なソフトウェア無線アルゴリズムにあります。
SkySafe社のドローン防衛システムは、NIブランドのEttus Research USRP X310 SDR、GNU Radioのオープンソースソフトウェアコミュニティ、および柔軟なFPGAフレームワークのRFNoCを使用しています。USRP X310は適応性を考慮して設計されているため、迅速な開発、高い適応性、および低電力を特長とするモバイルアプリケーションに最適です。SkySafe社最高技術責任者(CTO)のScott Torborg氏は次のように述べています。「ナショナルインスツルメンツのEttus Research USRP X310は、オープン性と未処理RFおよびDSPの機能を備えており、急速な進化を遂げるドローンの脅威に対抗するためのニーズに応える、唯一の市販のSDRです。」
フォームファクタと高耐久化の問題を解決するため、SkySafeソリューションは、USRP X310を頑丈な車載用エンクロージャに再パッケージしています(図2を参照)。環境保護とシステム強化については、当初よりSkySafe社の設計に組み込まれており、NIのサポートによるUSRP X310の適応は、SkySafeの環境要件を満たすための鍵となりました。
ドローンは楽しくて便利な技術ですが、こういった画期的な技術を悪用しようとする者もいます。新しい脅威に対する防衛には、技術的な課題と規制上の課題の両方が伴います。規制が進歩するにつれ、ドローン防衛の開発は軍事用途に絞られてきます。SkySafe社は、USRP X310とオープンソースソフトウェアによって、急速に進化する脅威とフォームファクタの両方の要件を満たすことを実証したNIのSDR技術に基づいた高性能システムを実現しました。