ATE基本コンフィギュレーションの計測器、機械的装備、安全と電源を確保するための設備を中核として自動テストシステムを構築しましょう。搬入後すぐに利用開始できるシステムとして、標準的な各コアコンポーネント間のバランスを非常に高い精度で確立しています。そのため、設計およびドキュメントを簡素化できるほか、PXIやCompactDAQ、その他の計測器を柔軟なレイアウトで運用できます。
ATE基本コンフィギュレーションを導入することで、自動テストシステムの設計を加速し、統合に係わる負担とリスクを軽減して、システムをデプロイするまでの時間を短縮できます。このシステムの機械的装備および電源プロファイルは、拡張性を備えています。そのため、基本的な設計の検証テスト用ベンチから、世界各地へデプロイする高電力/高信頼性テスト設備の構築まで、さまざまなアプリケーションに対応できます。
図1.ATE基本コンフィギュレーションの計測器、機械的装備、安全および電源設備を利用することで、より高性能な自動テストシステムを構築できます。
ATE基本コンフィギュレーションは、19インチラック上に構築されます。このラックはRMX-10011と呼ばれ、筐体外部・内部へのアクセスが容易で、シンプルな構造を持ち、世界各地へのデプロイメントに適した設計となっています。RMX-10011には24Uと40Uという2種類のモデルがあり、各モデルの主な仕様を以下の表に示します。
モデル | 高さ | 幅 | 奥行き | 最大静荷重 | キャスターのサポート |
24U | 1,353 mm (53.26 in.) | 584.2 mm (23.0 in.) | 800 mm (31.5 in.) | 454 kg (1,000 lb.) |
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40U | 2,071 mm (81.55 in.) | 584.2 mm (23.0 in.) | 800 mm (31.5 in.) | 454 kg (1,000 lb.) |
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RMX-10011には3セットのマウントレール (10~32スレッド) が搭載されているため、さまざまなサイズの装置を簡単に取り付けられ、柔軟な熱対策が可能です。総取り付け深度は749 mm (29.5 in.) で、ミドルマウントレールは背面レールから178 mm (7.0 in.) です。
図2.取り外し可能な側面パネルとアクセスの容易な背面ドアにより、RMX-10011の保守作業は簡単です。
RMX-10011ラックには、取り外し可能な側面パネルと施錠可能な背面ドアがあります。側面パネルの取り付けには1/4回転インセットネジを採用して保守性を高めています。背面ドアはラック全高より8Uだけ短くなっていて、そのスペース、つまり背面ドア下部に4Uの電源インレットパネルと4Uの吸気口パネルがあります (これらの詳細は後述)。背面ドアは、4U吸気口パネルのすぐ上、またはラック上端部のすぐ下のどちらにも取り付け可能です。
図3.取り外し可能な側面パネルとアクセスの容易な背面ドアにより、RMX-10011の保守作業は簡単です。
ATE基本コンフィギュレーションは、保守作業が簡単な6個の4インチファンから構成されるトップファンキットを備えています。このファンについては、ATE内部で発生する熱量とATEの周辺環境に応じて2種類のモデルから選択できます。目安として、ATE内部で発生する熱量が小さい場合、または比較的穏やかな周辺環境 (空調管理のなされたラボや個室など) では、小型ファンの使用を検討してください。熱量が大きい場合、または工場内生産現場などの過酷な周辺環境である場合、大型ファンの使用を検討してください。
トップファンキットのほかに、エアフローの調節は1Uのファンキット (製品番号: 784841-01) でも可能です。このキットは3個の4インチファン (風量300 cfm) から構成され、ラック内部の熱源ターゲットに対してエアフローを強化できます。トップファンキットおよび1Uファンキットに必要な電源は、DC 24 V (合計1 A以下) です。後述しますが、これは配電ユニットのDCアウトレットにあらかじめ配線済みです。
ラック背面下部にある4U吸気口パネルによって、ラック全体のエアフローが強化されています。また、両サイドの側面パネル下部にはルーバー (排熱孔) があります。必要に応じて吸気口パネルにフィルタを追加することで、過酷な環境から内部の機器を保護することもできます。
図4.背面下部の吸気口パネルによってエアフローを強化します。吸気口パネルには必要に応じてフィルタを追加できます。
アプリケーションの要件に応じて計測器を設置し、アクセサリを追加するなど、ATE基本コンフィギュレーションをベースにして構築するシステムはどれも完全にカスタマイズ可能です。そのため、工場内部での搬送を念頭に置いた、平衡と安定性を保つようなシステムレイアウトの設計が難しい場合もあります。したがって、すべてのATE基本コンフィギュレーションのバランスは、システム完成時点での最終構成に基づいて評価されます。その上で、電気機器の安全性国際規格IEC 61010の傾斜/引張りテストに合格するよう適宜、スチール製バラストをラック基底部 (マウントスペースの下) に追加します。
ATE基本コンフィギュレーションはラックマウント式電源入力パネルを備えており、この設計によってテストオペレータが触れることのできる接続部から内部配線を明確に分離し、安全性と保守性を高めています。各電源パネルにはUSBおよびイーサネットのパススルー接続、ラック内部すべての装置を接地するための接地用ブロック、回路保護、および外部電源によって生ずる高周波ノイズを低減するためのEMIフィルタがあります。電源入力パネルは、緊急停止スイッチリレーを備えています。このリレーは緊急電源遮断 (EPO) パネルに接続されていて、オペレータやシステムの非常時に主電源を切断します。
図5.電源入力パネルは、ATE基本コンフィギュレーションの安全性と保守性を高めます。
RMX電源入力パネルには、システムの使用電力に応じて3つのバージョンがあります。
16 AのATE基本コンフィギュレーションは、世界各地の入力電圧 (100~240 V、50~60 Hz) に対応する単相配電ユニット (PDU) と、電源入力パネルに直接接続する16 A (IEC 60309 C20) 入力コネクタを備えています。
図6.単相PDU
主な特長:
24 AのATE基本コンフィギュレーションは、単相配電ユニットを2台備えています。ただし、2番目のユニットにはDC出力がありません。どちらのユニットも電源入力パネルに直接接続し、最適な電源管理を実現します。
16 Aの3相ATE基本コンフィギュレーションは、200~208 V、50/60 Hzのデルタ結線、または380~415 V、50/60 HzのWYE (スター結線、Y結線) に対応する3相PDUを備えています。また、電源入力パネルに直接接続する電源ケーブル (IEC 5極) が付属します。
図7.3相PDU
主な特長:
注:単相PDUと3相PDUの詳細は、それぞれのデータシートに記載されています。
EPOスイッチは、オペレータまたは検査対象デバイスにとって危険が生じたとき、システムをシャットダウンするために使用します。EPOスイッチは、電源入力パネルにあらかじめ配線済みです。このスイッチを押すと、システムに供給されている外部電源が遮断されます。
EPOパネルの電源ON/OFFスイッチは、PDUのリモート遮断器にあらかじめ配線済みです。OFF (○) に設定すると、ユニット上のACおよびDCアウトレットが無効になります。ON (I) に設定すると、ACおよびDCアウトレットが有効になります。
図8.緊急電源遮断 (EPO)
過熱遮断スイッチは、あらかじめEPOパネルと直列に配線されています。このスイッチもまた、システムに供給されている外部電源を遮断します。測温抵抗体 (RTD) が、排気温度の監視用にあらかじめ取り付けられていますが、その位置はユーザによって変更可能です。
いくつかの基本的な質問に答えるだけで、適切なATE基本コンフィギュレーションを選択できます。
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