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NIでは、自動テスト/特性評価アプリケーションに対応するソースメジャーユニット (SMU) を豊富に取り揃えています。これらのSMUは、従来のスタンドアロンSMUの電力供給および測定性能にNIが誇る技術を組み合わせた結果、サイズの小型化、処理の高速化、柔軟性の向上を実現しています。NIのSMUが持つコンパクトさとモジュール性は、並列測定が求められるIVテストシステムにとって重要です。NIのSMUを用いることで、19インチの4Uラックに最大68チャンネルを収容した、多チャンネルソリューションを構築することができます。また、モジュール式PXIプラットフォームでは、PXIバックプレーン経由でこれらSMUをトリガして、高速デジタルI/O、RFアナライザ/発生器、高速デジタイザといった他の計測器との間で測定を同期させることもできます。
NIでは、PXIフォームファクタのSMUを豊富に取り揃えています。NIのSMUは、汎用自動テストアプリケーションにおける電力供給から、半導体パラメトリックテストにおける測定まで、テストおよび特性評価のさまざまなニーズに対応します。以下の表では、NIのSMUの仕様を示しています。
システムSMUは、高電力、高精度、高速のソースメジャー機能を1つのSMUチャンネルで提供することで、さまざまなアプリケーションに対応する製品です。これらの計測器は20 WのDC電源 (連続) と最大500 Wの瞬時パルス電力を供給します。
PXIe-4135 | PXIe-4137 | PXIe-4139 | |
説明 | 低電流システムSMU | 高精度システムSMU | 高精度システムSMU |
最大電圧 | ±200 V | ±200 V | ±60 V |
最大電流 | ±1 A (DC)、±3 A (パルス) | ±1 A (DC)、±3 A (パルス) | ±3 A (DC)、±10 A (パルス) |
最大電力 | 20 W (DC)、480 W (パルス) | 20 W (DC)、480 W (パルス) | 20 W (DC)、500 W (パルス) |
最大サンプリングレート | 1.8 MS/s | 1.8 MS/s | 1.8 MS/s |
最大アップデートレート | 100 kS/s | 100 kS/s | 100 kS/s |
電流感度 | 10 fA | 100 fA | 100 fA |
タイミング/トリガ | ハードウェアタイミング式 | ハードウェアタイミング式 | ハードウェアタイミング式 |
過渡応答 | 低速、通常、高速、カスタム (SourceAdapt) | 低速、通常、高速、カスタム (SourceAdapt) | 低速、通常、高速、カスタム (SourceAdapt) |
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表1.システムSMUは、高電力、高精度、高速ソースメジャー機能を1つのSMUチャンネルで提供します。
多チャンネル低電力アプリケーションには、4チャンネルSMUのNI PXIe-414xシリーズが適しています。1つの4U PXIシャーシに最大68チャンネルを収容できるため、業界最高レベルのチャンネル密度が実現します。これらの計測器は過渡応答、精度、密度がカスタマイズ可能なため、MEMSシステムテスト、開放/短絡テスト、RF集積回路への電力供給といった、高精度半導体アプリケーションに最適です。
PXIe-4141 | PXIe-4143 | PXIe-4145 | |
説明 | 4チャンネルSMU | 4チャンネルSMU | 4チャンネルSMU |
最大電圧 | ±10 V | ±24 V | ±6 V |
最大電流 | ±100 mA | ±150 mA | ±500 mA |
最大電力 | 1 W | 3.6 W | 3 W |
最大サンプリングレート | 600 kS/s | 600 kS/s | 600 kS/s |
最大アップデートレート | 100 kS/s | 100 kS/s | 100 kS/s |
電流感度 | 10 pA | 10 pA | 15 pA |
タイミング/トリガ | ハードウェアタイミング式 | ハードウェアタイミング式 | ハードウェアタイミング式 |
過渡応答 | 低速、通常、高速、カスタム (SourceAdapt) | 低速、通常、高速、カスタム (Sourced) | 低速、通常、高速、カスタム (SourceAdapt) |
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表2.NI PXIe-414xシリーズは、1つの4U PXIシャーシに最大68チャンネルを収容できるため、業界最高レベルのチャンネル密度が実現します。
NIのSMUは、従来のスタンドアロンSMUよりもチャンネル密度が高く、最大17個または68個のSMUチャンネルを1つの4Uラックスペースに収容することができます (図1を参照)。NIのSMUは小型サイズのため、ピン数の多い半導体テストシステムや、緊密に統合されたミックスドシグナルテストシステムに最適です。たとえば、NI PXIe-4139システムSMUだけを使って、高輝度LED用の並列処理IVテストシステムを構築したり、このSMUをPXIベース計測器と組み合わせて、RFパワーアンプ用統合型テストシステムを1つのPXIシャーシに収容する形で構築したりすることができます。
図1.1つの18スロットPXIシャーシに最大17個のPXI SMUチャンネルを収容します。
高密度なテストシステムやミックスドシグナルテストシステムの構築は、密度と統合性のどちらの観点から見ても、スタンドアロン計測器で行うほうがモジュール式プラットフォームで行うよりも難度が高いと言えます。従来のスタンドアロン計測器を用いる場合、1台のPXIシャーシと同等の容積の4Uラックスペースに、8チャンネル分のSMUを収容できます。一方、NIのSMUだと、スタンドアロン型と同等の性能を実現しつつ、17チャンネルを収容できます。また、PXIプラットフォームでは、同期に必要なタイミング信号やトリガ信号をPXIシャーシ内で共有できるため、複数のSMUの間、または、SMUと他の計測器との間の統合が簡単です。この統合されたトリガルーティングをNI SMUのオンボードハードウェアシーケンスエンジンと組み合わせることで、外部配線なしで複数のSMUまたは他の計測器間でイベントとトリガを簡単に共有できます。
NIのPXI ExpressベースSMUでは、アパーチャ遅延を変更することによって、状況に応じて高速・高精度なDC計測を柔軟に実行することができます。アパーチャ遅延を短くすることで、このSMUを、最大1.8 MS/秒のサンプリングレートを達成可能なデジタイザとして使用できます。一方、アパーチャ遅延を長くすることで、最大10 fAの電流分解能を達成可能な高精度測定を行えます。
NIのSMUは高精度測定が可能で、電流感度が最小10フェムトアンペア (fA) です。高精度測定を行う場合、SMUアナログ - デジタルコンバータが信号を処理し、ノイズ除去フィルタの適用に十分なアパーチャ遅延を設定する必要があります。SMUのアパーチャ遅延は、多くの場合、電源サイクル数 (NPLC) を単位として設定します。通常、デフォルトで1 NPLCに設定され、電源ノイズ (60 Hzまたは50 Hz) をフィルタ処理します。
NIのSMUには、あらゆるアパーチャ遅延で低ノイズ測定が可能だという特長があり、それは高速測定においても変わりありません。以下のグラフでは、NI PXIe-4139システムSMUと従来のスタンドアロンSMUの測定性能を比較しています。どちらの計測器も、100 fAの電流感度を備えています。アパーチャ遅延 (NPLC) を増やすと、SMUは、より長い時間を信号の積分処理に費やし、平均化やフィルタ処理などのテクニックを使ってノイズを削減します。
図2.アパーチャ遅延 (NPLC) に応じた電流測定ノイズ (アンペア)
(詳細は以下の箇条書きを参照)。
このデータは、さまざまなアパーチャ遅延 (0.001、0.01、0.1、1、2 NPLC) で2つのSMUのRMS電流ノイズを測定したものです。どちらも同じ1 Aの電流測定範囲を使っています。どちらの計測器も同じ間隔でキャリブレーションされ、同じテストパラメータを維持しました。次の 2 つのシナリオは、NIのSMUと従来のスタンドアロンSMUの測定品質と速度を比較しています。
NIのSMUは、従来のスタンドアロンSMUと比較してはるかに高いサンプリングレートを備えているため、SMUを高電圧または高電流デジタイザとして使用することができます。さらに、高速アップデートレートとカスタマイズ可能なSMU応答を備えたNIのSMUでは、規模の大きいシーケンスを非常に速く処理したり、SMUを使用して任意波形を生成することができます。ホストPCとSMUの間でダイレクトDMA転送を行うことで、GPIBやイーサネットといった従来のバスインタフェースを用いる場合に問題となるデータ転送のボトルネックを回避でき、SMUの最大アップデートレートで大規模な波形を確実に転送することができます。以下の表では、NIのSMUを従来のスタンドアロンSMUと比較しています。
NI PXIe-4141/3/5 SMU | PXIe-4135/7/9 SMU | 従来のスタンドアロンSMU | |
最大サンプリングレート | 600 kS/s | 1.8 MS/s | 20 kS/s |
最大アップデートレート | 100 kS/s | 100 kS/s | 7 kS/s |
過渡応答 | 低速、通常、高速、カスタム (SourceAdapt) | 低速、通常、高速、カスタム (SourceAdapt) | 通常、高キャパシタンス |
表4.サンプリングレート、アップデートレート、過渡応答の設定についてNIのSMUと従来のスタンドアロンSMUを比較します。
NI SMUのデジタイザ機能は、SMU応答の過渡特性の詳細を把握したり、ラインや負荷の過渡応答などのテスト対象デバイス (DUT) の特性評価を行ったりする際に大変重要です。この機能がなければ、同等の測定を行うのに別途オシロスコープを用意する必要があります。
図3.NIのSMUは、従来のスタンドアロンSMUよりも高いサンプリングレートを備えています。
上の図は、電流パルスを生成し、出力を20 kS/秒と1.8 MS/秒でサンプリングするSMUを表しています。NIのSMUが持つ1.8 MS/秒のサンプリングレートによって、パルスの過渡特性の詳細を見られるようになり、オーバーシュートや振動が生じていないことを確認できます。
SourceAdaptテクノロジーによって、いかに高い誘導負荷あるいは大容量負荷であっても、SMU応答を最適化できるようになります。この次世代SMUテクノロジーでは、従来のアナログ制御ループの代わりにデジタル制御ループを用いてSMUの過渡応答を完全にカスタマイズすることができます。
SMUは、閉ループフィードバック制御を利用して、プログラム済みのソース値 (設定値) を確実にテスト対象負荷へと正しく適用します。従来のSMUはアナログハードウェアで制御ループを実装してきましたが、これにはトレードオフがあります。たとえば、高速テスト向けの高帯域SMUは通常、高い安定性が求められる高容量性負荷のテストには適していません。その一方、高容量性負荷のテスト向けのSMUは、高速テストに最適であるとは言えません。実際、ほとんどの従来型SMUは、高速テストと高安定性テストのいずれかに最適化されています。それでも、最適な応答を得るのは簡単ではありません。負荷のさまざまな範囲に適した応答のみが得られる回路を設計するのは非常に難しいからです。
SourceAdaptテクノロジーは、特定の負荷に対するSMU応答をカスタム調節できる技術で、上記のトレードオフを根本的に解決します。SMU応答を調節することで、最小限の整定時間で最適なSMU応答を実現できるようになるため、テスト時間の短縮につながります。また、オーバーシュートと振動を回避できるため、DUTが保護され、システムの安定性が確保されます。プログラミングでSMUの応答を調節できるため、高速テスト向けに構成したSMUを高安定性テスト向けに再構成することも簡単に行えます。これは、テスト装置の投資収益率の最大化とより良好なテスト結果の獲得の同時達成に貢献します。
図4.SourceAdaptテクノロジーを使うことで、応答のカスタマイズが可能になり、
安定性の最大化と立ち上がり時間の最小化が実現します。
IVI準拠の計測器ドライバであるNI-DCPowerは、NI LabVIEW、NI LabWindows™/CVI、NI Measurement Studioなどの環境向けに、ソフトフロントパネル、サンプルプログラムのセット、包括的なAPIを提供します。計測器ソフトフロントパネルは、シングルポイントIV測定の作成や、デバイスに対する連続的な電力供給に最適です。サンプルプログラムは、そのままの状態でSMUを動作させることもでき、1個または2個のSMUチャンネルからシーケンス出力を実行したり、応答をグラフ表示したりする際に有用です。これらのサンプルプログラムは、簡単なソースメジャー構成から、半導体コンポーネントの高度なスイープおよびIV特性評価まで、あらゆるユースケースを網羅しています。サンプルプログラムは、LabVIEWソフトウェアで規模の大きいプロジェクトやカスタムプロジェクトを作成している場合、あるいはNI TestStandでテストシーケンスを作成している場合、ビルディングブロックとして機能することが多々あります。
図5.ユーザインタフェースをカスタマイズした、トランジスタの特性評価を行うサンプルプログラム
NIのSMUは、LabVIEW、LabWindows/CVI、Measurement Studioなどのプログラミング環境に最適化されています。開発とテストの両方において高い統合性を発揮するNIのSMUは、使いやすさの点で、従来の他社製スタンドアロン計測器をはるかに凌ぎます。NIのSMUでは、さまざまなSCPI (プログラム可能な計測器の標準コマンド)、LabVIEW VI、スクリプト言語を組み合わせる必要はなく、1つのプログラミング言語で、全機能を使いこなすことができます。NIのSMUのソフトウェア機能の一部は以下のとおりです。
NI SMUは、広範囲なハードウェアオプションと柔軟性に優れたソフトウェアを提供することで、さまざまな特性評価および自動テストアプリケーションに対応します。従来のスタンドアロンSMUと同じ測定品質を小型サイズで実現するため、1つのPXIシャーシに最大68個のチャンネルを収容して、多チャンネルシステムを構築することが可能です。また、SourceAdaptテクノロジーによって、単なる抵抗から高容量性のものまで、あらゆる負荷に高速かつ安定した応答を生成することができます。
*LabWindowsという商標は、Microsoft Corporationからの使用許諾を得て使用しています。Windowsは、Microsoft Corporationの米国およびその他の国における登録商標です。