インダストリアルIoT(IIoT)では、かつてないほどの膨大な量のデータが生成されています。 たとえばCERNでは、大型ハドロン衝突型加速器が毎秒40テラバイトものデータを生成しています。 ただしデータは多ければよいわけではなく、それを使って何をするか、そのデータからどんな洞察と結果が得られるかが重要です。 このような工学/計測データの爆発的増加に伴い、適切なデータ管理/解析戦略を確立することが不可欠になっています。 したがって、最適な計測/解析ソリューションには、(1)エッジでの分析、(2)企業全体での分析という2つの基本機能が必要です。
図1. CERNで生成されるような膨大な量のBig Analog Dataを管理するには、(1)エッジコンピューティングと(2)企業レベルでのデータ管理という2つの基本機能を備えた高性能の計測/解析ソリューションが必要です。
データの量は増える一方であるため、すべてのデータを収集して、ディスクに保存し、オフラインで解析するという従来の方式では対応できなくなっています。 技術者たちはすでにその問題に直面しています。 収集したデータのうち、解析できるように十分に文書化されているのはわずか22パーセントであると推定されています。 さらに、すべてのデータのうち、実際に解析されているのはわずか5パーセントであると推定されています。1この割合は、データ収集が手動の場合にさらに低下します。 手動の場合、データ収集にかかる時間は、解析の5倍以上に及ぶこともあります。
図2. 収集したデータのうち、解析できるように十分に文書化されているのはわずか22パーセントであり、実際に解析されるのは、わずか5パーセント。
IIoTでは、データに基づいたよりスマートな判断を、かつてない速さで下すことが求められます。 そのための第一歩として、従来型のデータ処理方法はやめて、よりスマートな方法でBig Analog Dataを処理する必要があります。 収集したデータを集中処理する場所に送信し、そこで処理して、結果を返すという時間のかかる方法をやめ、処理をセンサに近い場所(エッジ)またはセンサで直接実行するのです。 そうすれば、極めて短い遅延でデータをその場で処理して解析することができます。
図3. エッジコンピューティングを行うことで、データを全社レベルでよりスマートに管理することができます。
CompactRIOプラットフォームはこのようなニーズに最適です。収集したデータをセンサに近い場所(エッジ)にて処理・解析し、その情報に基づいて全社レベルで判断を下すことができるのです。 CompactRIOを使用すれば、搭載されている多数の信号処理、解析、制御、数式処理関数を利用して、アプリケーションの開発を短期間で行うことができます。 これらの関数はCPUでもFPGAでも利用できるので、アプリケーションのニーズに対応できます。 CompactRIOは、上級解析、高速イベント検出、信号/画像処理などのタスクを、エッジで直接を実行できる、柔軟性に優れたスマートなエッジデバイスなのです。
図4. CompactRIOを使用することにより、ローカルで収集したデータの処理と解析をリアルタイムで行い、その結果に基づいて迅速に判断を下すことができます。
ただし、Big Analog Dataの難題を解決するには、計測データをエッジで処理するだけでは不十分です。 エッジコンピューティングで抽出した情報を、クラウドに転送し、さらに解析やデータ管理を行う必要があります。 CompactRIOプラットフォームを利用すれば、計測データをよりスマートに処理することができます。また、DIAdemやSystemLink TDM DataFinderモジュールなどのエンタプライズソフトウェアツールと組み合わせて使用することで、さらに包括的でスマートなテクニカルデータ管理ソリューションを構築することができます。
SystemLink TDM DataFinder Moduleは、組織で管理しているデータをすばやく検索して取得するための集中型データ管理ソフトウェアです。 SystemLink TDM DataFinder Moduleは、コンピュータまたはネットワーク上の指定のフォルダ内にあるデータファイルをインデックス化します。ITによる多大なサポートやデータベースに関する特別な知識は必要ありません。 ファイルが変更されると、データインデックスは自動的に作成、維持、拡張されます。 データ管理計画を作成することにより、、さらに高度なデータ解析を実施することもできます。 DIAdemは、計測データやシミュレーションで生成されたデータを、すばやく簡単に検索、ロード、視覚化、解析、レポート生成できるソフトウェアツールです。 情報に基づく判断を短時間で行うため、複数のカスタム形式の分散された大量のデータにすばやくアクセスして処理し、レポートを生成することが求められる複雑なシステムのニーズにも対応できるように設計されています。 SystemLink TDM DataFinderモジュールとDIAdemを組み合わせて使用すれば、クエリを作成してすばやくデータを見つけたり、対話式にデータを視覚化したり、多彩な関数を使ってさらに工学解析を行うことができます。また、自動化スクリプトを作成してデータ解析を完全に自動化することも可能です。
図5. CompactRIOプラットフォーム、DIAdem、SystemLink TDM DataFinderモジュールを組み合わせることで、エンドツーエンドデータ解析ソリューションが構築可能。
CompactRIOプラットフォームによるエッジ処理、DIAdem、SystemLink TDM DataFinderモジュールを組み合わせてエンタプライズとクラウド全体におけるエンドツーエンド解析を行うことで、Big Analog Dataの課題に対応できる高度なソリューションが完成します。
究極の多目的コントローラであるCompactRIOを使用して、処理/解析アプリケーションの性能と統合性をさらに向上させることができます。 CompactRIOコントローラで ロギングと監視を行う方法についてもご覧ください。 プラットフォームの詳細については、CompactRIO、またはCompactRIOコントローラをご覧ください。
1IDC社によるEMC Digital Universe with Research and Analysis by IDC -- The Digital Universe of Opportunities: Rich Data and the Increasing Value of the Internet of Things.