これらのモジュールで外部サンプルクロックを使用した場合、最大15 MS/s/Chを実現できます。注意点として、この最大サンプルレートを実現するには、タイミングモジュールを使用して外部クロックを生成する必要があります。PFIラインなどのライン帯域幅は、最大サンプルクロックレートで外部クロックをPXIe-6386またはPXIe-6396モジュールに直接供給するには不十分です。
内部クロックまたはバックプレーンクロックを使用した場合、100 MHzクロックを分周するため、これらのモジュールで実現可能な最大レートは14.29 MS/s/Chです。
この問題は、低速サンプリングデバイスでチャンネル拡張を試みるお客様に影響する可能性があります。LabVIEWの付属サンプルでは、デフォルトのサンプルレートが20 kHzを下回る場合、エラーが発生する可能性もあります。このような問題を解消するには、サンプルレートの値を20 kHzよりも大きくします。そうすることで、低速のサンプルタスクと関連付けたときに、必要に応じてデータを後処理できます。
最初の2つのサンプルが無効となるのを防ぐため、これらの製品で使用するADCは常に稼働している必要があります。内部生成されたクロックを使用する場合、ユーザの代わりにボードがクロックを処理します。ただし、外部クロックを使用すると、最初の2つのサンプルは無効となります。
PXIe-6386およびPXIe-6396は、NI-DAQmxドライバの再トリガ可能なAIタスクをサポートしません。
タスクを明示的にコミットし、その後ループ内で開始および停止すると、このループの最初の反復のみが実行されます。その後に続くループは全て、タイムアウトまたはハードウェア障害でエラーとなります。
図1: 再現ケースの簡単なサンプル
図2: タイムアウトおよびハードウェア障害によるエラー
このエラーに対処するには、読み取りごとにタスクを再構成することを推奨します。この再構成は、上記の「タスクを制御」VIを削除するか、タスクを明示的に予約することで実現できます。
NI-DAQmx 19.0ドライバのPXIe-6386およびPXIe-6396向けファームウェアバージョン(19.1.0f2)でデータ破損が生じる可能性があります。このデータ破損が発生するのは、ファームウェアのバージョンが19.1.0f2の場合です。ただし、ファームウェアのバージョン19.1.0f5以降はこの問題が修復されています。
タスク中に開始トリガ(アナログエッジ、アナログウィンドウ、デジタルエッジなど)条件が複数回満たされると19.1.0f2ファームウェアの問題が発生し、最初の開始トリガ後はトリガ条件ごとにデータ破損が生じます。トリガ条件が満たされた直後にサンプルがドロップします。有限タスクの場合はタイムアウトエラーとして示され、要求されたサンプル全てが利用可能となるわけではありませんが、連続タスクの場合はドロップしたサンプルとして示されるものの、エラーは発生しません。
図3:問題は赤丸内にドロップしたサンプルとして表示される
これらのモジュールは、PXIe_CLK100および基準クロックソースのオンボードクロックのみにアクセスできます。これらのモジュールで最速サンプルレートを引き出すには、100 MHz発振器が必要です。
AIタスクは20 MHzおよび100 kHzタイムベースの使用をサポートしません。この結果、これらのデバイスのai/SampleClockTimebaseではNI-DAQmxドライバの20 MHzおよび100 kHzタイムベースを使用できません。20 MHzおよび100 kHzサンプルクロックは、その他のソースから得ることができます。また、その他のNIのデバイスを含め外部リソースからインポートすることも可能です。
AIタスクでは、これらのデバイスの一時停止トリガをサポートしません。
AIタスクでは、これらのデバイスでHWTSPをサポートしません。
DSAモジュールは特定のタイミングニーズを備えており、チャンネル拡張タスクにおいて独自のデフォルトマスタタイムベースを提供します。PXIe-6386およびPXIe-6396も特定のタイミングニーズを備えており、DSAモジュールをプログラミングしてこのタイミングニーズに対応させることはできないため、DSAモジュールによるチャンネル拡張では、最大2.5 MHzのサンプルレートのみサポートされます。
SCXI製品ラインは2018年9月28日に生産終了(EOL)が発表されました。これらのモジュールはこのEOL以降にリリースされたものであり、SCXI製品ラインのサポートは備えていません。
最大サンプルレートが15 MHzのため、旧式のPXIハードウェアを使用している場合、ストリーミングアプリケーションや大量の有限収集に必要なスループットを検討する必要があります。
大量のデータを連続的に転送するには、PXI Expressシステム全体が十分なデータ帯域幅を持つように設計されている必要があります。PXIe-6386およびPXIe-6396では、PXI Expressシャーシのバックプレーンとのx1 PXI Express接続を使用します。これらのモジュールはx1接続でも動作しますが、ホストコンピュータと通信できるデータ量が制限されます。より高いサンプルレートで複数のチャンネルを使用するタスクでは、バッファエラーが発生する場合があります。
加えて、PXI Expressシャーシとホストコンピュータ間の帯域幅により、データスループットが制限されることがあります。PXI Express組込コントローラを選択する際は、システムに取り付けられた全てのデバイスが動作するように、コントローラのスロットあたりの帯域幅が十分で(たとえば、スロット帯域幅が最低500 MB/s)、システム帯域幅も十分であるよう確実に指定してください。PXI Expressリモートコントローラを選択した場合、接続は必ずx4以上を使用してください。 x1 PXI Expressリモートコントローラには、全てのチャンネルを最大レートでデータ収集/生成するための十分な帯域幅がありません。
例
最大ストリーミングレート
PXIe-6396:15 MS/s x 8チャンネル x 32ビット = 480 MB/s
PXIe-6386:15 MS/s x 8チャンネル x 16ビット = 240 MB/s
たとえば、バックプレーンのアーキテクチャが以下の図のようになっているPXIe-1078シャーシが備えているのは、各スロットのGen-1 x1 PCI Expressリンクのみです。スロット5~9はPCIeスイッチを介してGen-1 x1リンクを備え、PCIeスイッチはコントローラへのGen-1 x4リンクを備えています。いずれのケースにおいても、スロットの実際のリンク帯域幅は250 MB/sに制限され、スロット5~9はPCIeスイッチを共有するその他のモジュールに応じてさらに制限されます。
図4: PXIe-1078バックプレーンアーキテクチャ
PXIeリンクでの理論上の帯域幅は250 MB/sのため、PXIe-6396から8チャンネルをストリーミングする場合、アプリケーションで必要なスループットが得られません。PXIe-6386を使用した場合でも、シャーシの制限が加わり問題が発生する可能性があります。
これに対して、PXIe-1085(24 GB/sに対応)は、各スロットからGen-3 PCIeスイッチへのGen-3 x8 PCI Expressリンクを備えており、Gen-3 PCIeスイッチはコントローラスロットへのGen-3 x8およびGen-3 x16接続を備えています。このような高スループットを備えたシャーシを選べば、バッファエラーを心配せずに、その他のモジュールや複数のPXIe-6386またはPXIe-6396を最大レートで作動できる十分なヘッドルームを取ることになります。
図5:PXIe-1085バックプレーンアーキテクチャ