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工業アプリケーション最適信頼高いNIデジタルI/O機能使用

概要

ナショナルインスツルメンツの最新のデジタルI/O製品の新シリーズでは、幅広く信頼性の高い工業用機能をお使いいただけるようになりました。これらの機能には、変化検出、入力フィルタ、電源投入時の状態、およびデジタルI/Oウォッチドッグがあり、すべてNI-DAQmxを使用してプログラムが可能です。新製品の多くには、高電圧、高電流、高ノイズ信号に接続するための絶縁入力および出力も搭載されています。このドキュメントでは、これらの機能の操作、一般的な使用方法、そしてLabVIEWでプログラムする方法について説明します。これらの機能またはこれらの機能を搭載する製品については、このドキュメントの最後にあるリンクを参照してください。

内容

絶縁 – ハードウェア保護し、工業センサおよびアクチュエータ直接接続許可

絶縁は、回路の2つの部分を物理的および電気的に切り離すことにより、さまざまな利点を提供します。グランドループを切断し、コモンモード電圧およびノイズ除去を向上させ、回路の2つの部分を異なる電圧レベルにすることが可能です。絶縁はまた、コンピュータの回路を保護します。工業用アプリケーションでは通常、過渡電圧スパイクから電子機器を保護し、機械装置や誘導性負荷のある電気的ノイズの多い環境で優れたコモンモードノイズ除去を提供する絶縁が必要です。チャンネル間の絶縁I/Oの場合、各チャンネルには専用の接地端子があります。バンク絶縁デバイスでは、各バンク(グループ)は同じグランドを共有している複数のチャンネルで構成されていますが、他のバンクからは絶縁されています。

科学色素ミキサ

科学色素の混合は、色素および染料用に無機化学薬品を混合するプロセスです。薬品の流量ポンプおよび水力制御バルブは、使用される2つの薬品の流量を制御します。ポンプとバルブにはそれぞれ接地基準があり、ポンプは同じ接地基準を持つ緊急停止スイッチに接続されています。さらに、2つの接地基準は5 V異なります。

絶縁が存在しない場合(図1を参照)、3つのすべてのデバイスは直接互いに接続されている必要があり、その結果、接地基準の電圧差によりグランドループが生じます。


図1. 非絶縁接続

この電流の流れにより、ポンプおよびバルブ回路が破損する可能性があります。さらに、デバイスの信号出力で増加する負荷により、間違った値が読み取られる可能性もあります。バンク絶縁デジタル製品(図2)を使用すると、デバイスは大きな電圧差がある場合でも専用の接地基準で動作することが可能です。


図2. バンク絶縁接続

このような工業環境では、電気的ノイズが多い傾向があります。ノイズ源の例には、電源ケーブル、電気モーター、リレーがあります。このようにノイズの多い環境では、絶縁によりI/Oデバイスのデジタル回路が通常動作範囲を超える電圧から保護されます。

変化検出 – デジタルイベント検出後に最小プロセッサ使用アプリケーショントリガ

大規模な自動システムで障害が起こった場合、障害が発生したときの状態に戻ることができることが重要です。また、障害に至るまでの状態も同じように重要です。

発電所の監視

2003年の8月、米国の北東部の一部の都市で停電が起こり、数万人の人々が電気のない生活を強いられました。その後の調査で、停電の原因の特定が試みられました。このような場合、停電が起こる数分、数時間、数日前にシステムの状態を確認できることが極めて重要です。

システムの状態は散発的に変化するため、常に管理する必要があります。一方、システムを規定の間隔で常に測定すると、データ量は膨大になり、その大部分が反復するものや不要なものです。変化検出は、重要なシステムイベントを記録しながら反復データを削除するという2つの利点を提供します。変換検出を使用すると、指定した入力で立ち上がりまたは立ち下がりエッジが検出された場合のみデータがキャプチャされます。たとえば、リレーが開閉すると、すべてのリレーの状態がキャプチャされ、後に必要な場合に保存されます。

変化検出を使用するプログラムはNI-DAQmxで簡単に作成できます。「NI-DAQmxタイミング」VIには新規の多態性インスタンスが含まれており、他のバッファ型NI-DAQmx入力操作と同様に変化検出を処理します。(図3)変化検出に使用するラインはプログラマが制御することが可能です。立ち上がりエッジおよび立ち下がりエッジライン制御器は、デバイスに物理的に存在する入力ラインの組み合わせで生成できます。次のセクションでは、変化検出をデジタル入力フィルタ処理とともに使用すると、さらに便利であることを説明します。


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図3. NI-DAQmxで変換検出を構成する

プログラム可能入力フィルタ – グリッチ/スパイクおよびノイズ除去

上記で述べたように、工業環境では電気的ノイズが多く発生します。このノイズにより、さまざまな問題が起こります(例: 不要な読み取り値)。デジタル入力デバイスは、1つまたは2つの電圧しきい値を使用して、入力がHIGHであるかLOWであるかを決定します。入力電圧がHIGHしきい値を超えると、デバイスは論理HIGHを読み取ります。逆に、電圧がLOWしきい値未満であると、デバイスは論理LOWを読み取ります。ノイズが存在すると、突然入力電圧がしきい値を超える場合があり、誤ってHIGHまたはLOWとして読み取ってしまいます。その他の場合にも、実際には信号の状態が1度しか変化していないにもかかわらず、数回変化したように表示される場合もあります。

石油精製所

石油精製所では、精製室への原油の流量をアクティブにするためにキースイッチが使用されます。ただし、スイッチでは多くのバウンスが起こります。硬い表面で跳ねるボールと同様に、他と接触するように強制されると金属の接触によるバウンスが起こる傾向があります。繰り返す信号の切り替えにより、制御しているポンプのスイッチのオンとオフの切り替えが速くなります。これによりポンプの摩擦がひどくなり、寿命前に故障する原因となります。また、この信号集録に変化検出を搭載するNIデバイスを使用すると、入力バッファが不要に一杯になります。

NIデバイスで入力フィルタを有効にすると、スイッチのバウンスにより発生した不正確な読み取り値が削除されます。これは、幅が小さすぎるパルスを無視するためです。その後、NIデバイスはフィルタ処理された信号をポンプに出力します。プログラム可能な入力フィルタでは、通過することが保証される最小パルス幅をプログラムで選択することができます(図4)。


図4. NI-DAQmxで入力フィルタを構成する

指定した最小パルス幅を超えるパルスは通過し、指定したパルス幅の半分未満のパルスはフィルタされることが保証されます。指定された最小パルス幅とその半分の間の幅を持つパルスは、通過するかもしれません。

プログラム可能電源投入状態 – ポンプ、バルブ、モーター、リレー接続時に安全操作確保

コンピュータの電源が入ると、さまざまなコンポーネントで電源投入動作が開始され、既知の状態が確立されます。機械装置や工業プロセスを制御するためにデジタル出力デバイスがコンピュータの内部で使用される場合、デジタル出力も同様に既知の状態に初期化されていることが重要です。出力の変更には通常、アプリケーションが実行している必要がありますが、アプリケーションを開始する前にデバイスを数分間オンにしなければならない場合もあります。デジタルデバイス内部に、電源を受信するとすぐに出力を設定する手段があることが重要です。

圧延装置

圧延装置では、熱された鉄が圧延機に押し出されさまざまな幅の鉄骨が作成されます。圧延モーターは、デジタルI/Oデバイスのデジタル出力ラインにより制御されます。コンピュータの電源がオンになると、起動中に鉄を無駄にすることを避けるために圧延モーターをオフにする必要があります。デジタルI/Oデバイスに初期出力を保証する手段がない場合、既知の状態がチャンネルに出力される前に、コンピュータが完全に起動し、制御プログラムが開始されている必要があります。このように制御が不可能であると、高価な原料を無駄にしたり、機材が破損する結果となります。グリッチなしの電源投入時の状態では、デバイスがオンになるとすべてのデジタル出力が既知の状態で開始されます。機械装置の電源が突然入ることがないため、鉄が無駄になりません。

新しいNIデジタル製品では、デバイスのEEPROMにプログラム可能な電源投入時の状態が実装されました。EEPROMの電源投入時の状態は、2通りの方法のいずれかでプログラムで変更することができます。A) 「NI-DAQmx電源投入時の状態を設定」VIをLabVIEWで実行(図5)。VIが実行されると、設定がEEPROMにダウンロードされます。


図5. LabVIEWにおける電源投入時の状態

B) これらの設定は、NI Measurement & Automation Explorer(MAX)からデバイスのプロパティページを開き、書き込むこともできます。OKボタンをクリックすると希望の設定が書き込まれます(図6)。これらの両方法では、簡単にプログラム可能な電源投入時の状態を使用することができます。


図6. MAXにおける電源投入時の状態


デジタルI/Oウォッチドッグ – コンピュータまたはアプリケーションエラー検出し、安全復元

制御システムでは通常、何らかの冗長機構または二重安全装置が必要です。突然システムの一部のコンポーネントが故障した場合、二重安全装置が作動し、システムを既知の安全な状態に戻します。新しいNI工業用デジタル製品のデジタルI/Oウォッチドッグは、システムの誤差を検出し、安全に復元する方法を提供します。

キャンディー工場

チューイングガムはキャンディー工場で切り分けられ包装されます。刃でガムが細かく切り分けられ、コンベヤで包装機に運ばれます。刃とコンベヤの両方はデジタル出力ラインにより制御されています。制御アプリケーションがハングした場合、コンベヤが停止し、ガムを切る刃もガムから離されるのが理想です。そうでない場合、機械装置が破損し、ガムが無駄になる可能性があります。デジタルI/Oウォッチドッグは、システムの故障または障害が起こった場合にデジタルデバイスの出力を安全な状態に戻す方法を提供します。デジタルデバイスは絶えずコンピュータが正常に機能しているという確認を受信します。この確認がプログラム可能なタイムアウト時間内に受信されないと、安全状態が出力に書き込まれます。以下の図7は、通常動作中の情報の流れを示します。


図7. ハードウェアとソフトウェアのレベルを示すウォッチドッグタイマフローチャート

ウォッチドッグが構成され開始すると、ソフトウェアアプリケーションはタイムアウトを防ぐために連続してタイマをリセットする必要があります。このタスクは、図8の示す「NI-DAQmxウォッチドッグタスクを制御」VIにより実行されます。前述にあるように、このリセットは受信の確認となります。


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図8. ウォッチドッグタイマを構成してリセットする

図9の続きのフローチャートでは、障害(コンピュータがハングするなど)が発生すると、ハードウェアはタイムアウトするまで継続してカウントダウンを行います。この時点では、定義済みの安全状態が出力に書き込まれ、その後の書き込みは無視されます。


図9. ウォッチドッグタイマの制限時間経過状態を示すフローチャート

デバイスがハードウェアのコマンドに再び応答するようにするには、図10に示されるように「NI-DAQmxウォッチドッグタスクを制御」VIを使用して制限時間経過状態をクリアする必要があります。


図10. 制限時間経過状態をクリアする

デジタルI/Oウォッチドッグは、アプリケーションのハング、コンピュータのハング、システム全体のクラッシュなど、さまざまな障害からデバイスを保護します。上記の説明で重要な点は、ウォッチドッグは一度構成すると、安全状態を出力する上でソフトウェアに依存しないことです。ソフトウェアで行う必要があるのはタイマのリセットのみです。

まとめ

信頼性の高い工業用新機能は、工業プロセスの制御、ノイズの除去、機材破損の制限、廃棄抑制を行う上で効果的な方法です。プログラム可能なすべての機能はNI-DAQmxで簡単に実行できるため、作業場での素早い実装が可能です。絶縁製品は、I/Oデバイスおよびコンピュータの両方の内部回路を保護し、高電圧デジタル信号の集録および生成を行う方法を提供します。これらの豊富な機能により、強力で専門的な工業システムを構築することができます。

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