確かデータ基盤使用検証における効率向上リスク軽減実現する

概要

お客様は数十年にわたってデータを生成してきました。大規模に生産する前に、製品が要件を満たしているか、および製品のパフォーマンスや品質に関する洞察を得ることが重要です。

 

一方、「デジタルトランスフォーメーション」や「デジタル化」は、世界中で流行語として使われ続けています。デジタル化はアナログ信号や一般的な情報をデジタル形式に変換するプロセスを表しますが、デジタルトランスフォーメーションという言葉の意味は人によって異なります。1では、これまで生成してきたすべてのデータにとっては、どのような意味になるでしょうか。すべてのデータをデジタル化するだけでは十分ではありません。 データを使用して継続的に価値を高め、ビジネス全体を向上させる必要があります。これを実現するには、行動が必要な洞察を獲得し、効率の向上とリスクの削減を促す変化を加えるためのデータ基盤を設けていることを確認する必要があります。

 

データの活用が、品質の確保、コスト管理、期日の順守だけでなく、組織の他の部署に洞察を提供するのにも役立つ仕組みについて説明します。さらに、データを使用すれば、これまで数日や数週間かかっていた洞察を、数分で得ることができます。

内容

既存データ基盤構築する

​V&Vテストでは、製品を検証する際に多数のデータを生成できます。こうしたデータからさらなる価値を引き出すということは、必ずしも生成するデータを増やすという意味ではありません。代わりに、正しい情報 (テストシステムの状態、使用されているアセット、実行するテストルーティンを説明するデータ) を使用する必要があります。さらなる価値を提供するためには、製品がテストに合格したか否かだけでなく、その理由も把握する必要があります。テストとシステムデータを結び付けると、製品のパフォーマンスに留まらず、さらに深い洞察を得られます。それに加え、プロセスに変更を加える必要があるかどうかもわかります。

例えば、計測器のキャリブレーションが期間内に実行されなかったことが原因で、テストが不合格になる場合があります。または、テスト対象の製品が既存の製品の新しいバージョンのため、これまでデプロイされたことのない最新バージョンのソフトウェアが必要という場合もあります。このような状況に対応できる検証プロセスを設計できれば、効率を高め、テストの再実行を排除し、製品をすばやく生産に移して、市場投入への時間を短縮できます。

 

R&D設計チーム製造部門データ透明性

チームや部門を超えてデータを共有することは、かつてないほど重要になっています。2ほとんどの産業のR&Dでは、シミュレーションを用いて、さまざまなユースケースや、異なる環境シナリオに晒された際に、製品がどのように反応するかを予測しています。このプロセスでは多くのデータが生成され、製品がどう機能するかに関する洞察を得ることができます。

テストシナリオを単体テストから統合テスト、最終的には受入テスト前のシステムテストへと進める際、シミュレーションで生成されたデータにアクセスできると非常に役立ちます。データの相関には時間がかかることがありますが、シミュレーションデータとテストデータを比較すれば、さまざまなシナリオで製品がどのように機能するかに関する貴重な洞察を得たり、問題を特定しやすくしたりできます。これらの物理的なテストの実施による結果を取得し、R&Dに結果を提供することができ、R&Dはモデルを最適化して忠実性を高めることができます。

全体として、このようなデータ洞察は、設計検証テスト (DVT) から製造との連携、生産検証テスト (PVT) の準備、製造テストプランの構築にかかる時間を短縮するのに役立ちます。もちろん、これらのうちいくつかは部門を超えた調整と話し合いが必要となりますが、適切なデータ基盤を構築すればすべて実現できるということを見過ごさないでください。


最初すること

はじめに、データ基盤を構築するには何が必要か考えてみましょう。

  1. 現在収集しているデータを理解する。データの完成度や、そこからどのような洞察を得られるかを評価する。
  2. 必要な追加データは何かを決定する。  
  3. データ戦略を策定する。利用可能な大量のデータから、その日に必要なデータと将来必要となるデータを評価してください。
  4. データのニーズと戦略を捉え、設計および製造エンジニアリングチームと調整して、製品開発サイクル全体で効率を向上できるようにしてください。 

​範囲を拡大するにつれ、マネージャーや経営幹部レベルのオーディエンスなどの個人へデータを提供する必要が出ることもあります。これらの人物は、バリューチェーン全体や新しい高パフォーマンス製品の出荷開始時期に対する洞察を得ることができる、大まかな情報を探している可能性があります。

これ重要理由

​短くなったタイムラインや複雑化した製品を限られたリソースで管理するのは困難な場合があります。とはいえ、V&Vチームが、機能を検証して品質を保証しながら、期日を守るのに留まらない、さらなるビジネス上の価値を提供できれば、チームに貴重な補完リソースを充てる価値があることを容易に示すことができます。要求された以上の仕事をこなせる余力を持てるよう、リスクを削減すると同時に効率を促進できる仕組みを詳しく見てみましょう。

設計エンジニアが発見した問題を対処していくと、開発スケジュールにずれが生じることがあるというのは周知の事実です。製品をV&Vへと進めると、次のようなシナリオが原因で、時間の不足を痛感させられます。

  • 製造部門は、特定の日付に製品の製造を開始できることを期待しています。
  • 営業部門とマーケティング部門は、リードユーザーが製品を入手できると想定される時期に関する計画を立てていますが、V&Vにおいて、設計段階を繰り返す必要がある問題が見つかりました。  
  • V&Vで、未キャリブレーションのテスト装置の問題が見つかり、再実行する必要があります。
  • データに関する解析や根本原因分析の実施には非常に時間がかかるため、V&Vは確実な品質よりもリスクをとる必要があります。 

これらのいくつかは制御不能です。適切なデータはどのように役立つでしょうか。

データ使用検証効率上げる

期限を妥協することはできないため、効率を上げる方法の1つは、必要なテストの再実行回数を制限できるデータを取得することになります。再実行が必要となるリスクを低減するには、2つの重要なニーズを考慮します。

  • システム全体に関する状態を把握できる能力—このデータは、検証テストを開始する前に、テスタの状態を判断するのに役立ちます。一元的な場所でこのデータを利用およびアクセスできれば、V&Vチームはすばやく簡単にシステムのレビューを実行し、検証テストが開始する前にテスタの概要を把握して、テスト前に高いシステム準備度を確保できます。  
  • リアルタイムでのデータの使用—テストデータやシステムデータにしきい値を設定すれば、早い段階でエラーを把握できます。これにより、テストの再実行をなくすことはできなくても、テストが完了した後にチームがデータを確認してからインシデントを把握するのではなく、問題が発生したらすぐにチームに認識させることで、効率を高めることができます。

チームがテスト結果をレビューすると同時に履歴とパフォーマンスを確認できるようになれば、通常は効率が向上します。チームは根本原因分析のプロセスを加速させ、システム (プロセス) のエラーの可能性や、テスト対象の製品が期待どおりに動作していない (設計の問題) 可能性を迅速に排除できます。適切なツールを導入すれば、さまざまな方法で効率性を高めることができます:

  • プロセスの大部分を自動化することでワークフローを最適化する
  • ボトルネックを排除する
  • テストの編成から実行、データ管理に至るトレーサビリティを作成する
  • 貴重な洞察を設計エンジニアに返すのにかかる時間を短縮する  

適切なデータ基盤があれば、設計を迅速に繰り返し、短期間で市場に投入することができます。

コスト制御

組織において、コストは非常に重要です。データを活用し、コスト管理に役立つ洞察を得る方法を考慮しないことは過ちとなります。V&Vチームが品質テストを実施するには、信頼性の高い、優れた装置が必要です。このような装置は高額なことがあります。 

現在保有している装置と、その活用状況を把握しておく必要があります。これを怠ると、現在は活用されていない既存の装置を使用すればできたテストのために、新しい装置に投資してしまう可能性があります。これにはコストがかかるのに加え、調達プロセスにも長い時間がかかり、最悪の場合はタイムラインに影響する可能性があります。 

同じことがシステムレベルにも当てはまります。お使いのシステムがテスト装置に関する純粋なデータ記録で構成されているか、ハードウェアHIL (Hardware-In-the-Loop) テスト用の大規模なシステムを保有しているかは関係ありません。システム全体にわたって、装置が十分に活用されていないことを見極められれば、追加の装置を調達する代わりに、その装置を転用して他のテストを実施することができます。それどころか、フル稼働状態にあることを示しやすくなるため、追加の装置が必要なときには戦略的かつデータ主導な投資が可能になります。適切なデータ基盤があれば、これらすべてを実現できます。

NI果たす役割

堅牢なデータ基盤を構築することが、効率の促進、リスク削減、コスト管理に役立つ仕組みについて説明しました。最初からやり直す必要はありませんが、今手元にあるデータを評価して適切なデータを活用し、チームが必要とする洞察を得ることができれば、ビジネス全体にさらなる価値を提供できます。 

データで何が実現できるかを紹介しましたが、データの構築方法や、チーム内でのデータの統合方法については説明していません。どのデータが必要かを把握できれば、半分勝ったも同然です。お使いのシステムのデータパイプラインが必要です。データにインデックスを作成して検索できるよう、データを取り込んで変換する必要があります。デジタルトランスフォーメーションに既に取り組んでいる企業の場合は、ERPシステム、RMAトラッキング、CRMシステムなど、他の多くのソースのデータも格納されている、より大きなデータレイクに接続できることを確認する必要があります。次に、ビジネス分析チームが生成されたすべてのデータを使用し、組織全体で変化を促進できる、ビジネス上の洞察を獲得します。 

1人で実行する必要はありません。NIでは、評価、アーキテクチャ設計、実装を通じて複数のチームと連携してきました。これは、お客様がシステムおよびデータ管理用のSystemLink™ソフトウェアを使用してこれらの機能を構築しているためです。最初に、ジャーニーにおけるお客様の現在の位置と、お客様が何を促進したいかについて話し合いましょう。これにより、適切な規模を把握して、取りかかるために何が必要かの概要を提供できます。