- カルソニックカンセイ株式会社 開発本部 開発信頼性統括グループ 実験技術開発チーム, 西田 尚史氏
車載インジケータ電子制御ユニット (ECU) 用自動テストデバイスを開発する。
NI LabVIEWソフトウェアとPXIハードウェアを使用して、ECUの複数のコンピュータ化された機能をテストできるハードウェアインザループ (HIL) テストシステムを開発する。
カルソニックカンセイ株式会社 開発本部 開発信頼性統括グループ 実験技術開発チーム - 西田 尚史氏
西田 尚史 - カルソニックカンセイ株式会社
自動車のコンピュータ化が急速に進み、安全性の向上、および二酸化炭素/窒素酸化物の排出を削減する技術に不可欠なものとなりました。コンピュータ化の基盤となるマイクロコントローラを搭載したECUの開発は、自動車の性能や乗り心地を決定するほどの重要性を持っています。
車載ネットワークもこの進化の過程をたどり、機械的伝送メカニズムを「X-by-Wire」として電気的制御に置き換える技術として、ローカル相互接続ネットワーク (LIN)、コントローラエリアネットワーク (CAN)、FlexRayなどの通信技術が注目を集めています。
カルソニックカンセイでは、日本の埼玉県に試験・研究開発センターを設置し、佐野市に実験施設を拡張しました。また、私たちが車載インジケータECU (以下、メータ) の自動テスト装置の開発に着手した際、私たちはECUテストの経験が豊富なPeritec社と提携しました。
人間によるテストや目視によるテスト (man-in-the-loopテスト) ではエラーが発生する可能性が高いため、テストループを自動化する必要がありました。ただし、メータはディスプレイユニットであるため、通常はテスト用のフィードバックを得られません。
信頼性評価のセクションでは、さまざまなモデルのメータをテストする必要があります。針、インジケータ、LCDの位置はメータごとに異なり、また存在しないこともあります。汎用テストデバイスとして使用するには、テストのためにすべての製品について画像の取得と内容の変更を行う必要がありました。 この課題の克服が最大の難関でした。
メータインジケータとLCDディスプレイの角度をテストするには、高フレームレートと高解像度のカメラを使用して画像をキャプチャしてから、画像を処理する必要がありました。
メーターのインジケーター表示とブザー音のパターンをテストする必要がありました。
運転とユーザー操作のシナリオを作成し、実際の車両の動きのシミュレーションも実施しました。
NI PXI再構成可能マルチファンクションモジュール、PXIデジタルマルチメータ (DMM)、PXI波形発生器、PXI CANインタフェース、汎用スイッチモジュール、およびPXI産業用デジタルI/Oモジュールを基本ハードウェアとして使用して、PXIシステムを開発しました。 目視観察テスト (man-in-the-loopテスト) に代わるものとして、画像リーダー (カメラ)、およびNI LabVIEWで開発した画像処理とテストプログラムがループを構成する、HIL (Hardware-In-the-Loop) 自動テストシステムを完成したのです。
モデルごとにメータが異なるという問題を解決するため、カメラ位置を動かすステージを設置した後、テストを繰り返しました。実際のテストを始める前にはティーチングと予備テストを行い、設定ファイルを作成しました。
メーターインジケータ/LCDディスプレイの角度のテストでは、高解像度カメラによるテストが可能な位置にステージを移動して、詳細な画像をキャプチャしました。画像の取得と処理には、LabVIEWの画像処理機能を使用しました。
インジケータテストは、カメラオブスクラにメータを取り付けて行いました。ブザーテストでは、カメラにマイクとアンプを取り付け、DMMのデジタイザ機能を使用して音を記録して、周波数とパターンをテストしました。
運転とユーザー操作のシナリオでは、NI TestStandのシーケンスファイルを作成することにより、LabVIEWがすべてのモデルに対して作成したHIL標準機能を準備しました。
複数のモデルをサポートする「カメラの移動によるXYステージコントロール」のコンセプトに基づいて、問題を解決しました。さらに、カメラにインジケータテストに使用するカメラとマイクを取り付けて、すべてのテストを実行できるシステムを構築しました。私たちのテストは、いくつかの測定モジュール、カスタマイズ可能なLabVIEWとNI TestStandソフトウェアというNI製品を主要な基本的構成要素として実現したものです。このシステムを完成させたことで、手動テストに比べて時間とコストを少なくとも半分に削減できます。
項番 | 問題 | 解決策 | 効果的なNI製品 |
1 | MILテストからの出発 | HIL自動テストシステムの構築 | CAN通信ボードを軸としたPXIプラットフォーム |
2 | 複数モデルのサポート | XYステージ制御と設定ファイルの作成 | IEEE 1394規格の画像収集と記録ボード |
3 | 高解像度画像処理 | XYステージ制御と専用カメラの使用 | LabVIEWの画像処理機能 |
4 | インジケータテストとブザーテスト | カメラオブスクラ、専用カメラ、マイク、波形記録ボードの使用 | Camera Link画像収集/記録ボードおよびLabVIEW周波数解析機能 |
5 | 運転シナリオ | HIL標準機能の作成、テスト管理ソフトウェアの使用 | LabVIEW、NI TestStand |
NIのハードウェアとソフトウェアは、自動車業界向け製品をテストするHILシステムの構築に際して非常に効果的でした。私たちは、自動試験システムを使用して、ビジネスパートナーである日本の大手自動車メーカーが製造する車両に搭載するメータを開発しています。
開発信頼性統括グループとして、自動車の急速なコンピュータ化に対応するためのテスト自動化を大胆に推進しています。このテスト自動化には、バッテリ電圧テストや暗電流テストなど、ECUテストのためのHIL標準機能が含まれ、また他のECUテストにも適用が可能です。また、エアコンECUやエアバッグECUへの展開も検討しています。さらに、自動車業界の動向に沿った測定ソリューションの提供を期待しています。
西田 尚史
カルソニックカンセイ株式会社
佐野市栄町8
日本 327-0816 栃木県
電話: 81-283-21-8007
Eメール: hisashi_nishida@ck-mail.com
投稿者情報:
カルソニックカンセイ株式会社 開発本部 開発信頼性統括グループ 実験技術開発チーム
西田 尚史氏