自動テストのエンジニアは、市場投入までの時間と性能に関する厳しい条件を満たす画期的なテストシステムを開発する必要に迫られています。PXIとNI LabVIEWシステム開発ソフトウェアの組み合わせにより、事実上すべてのシステムをより速く、より自信を持って構築できる完全な自動テストプラットフォームを提供します。LabVIEWを従来の箱型計測器からソフトウェア定義型のPXIモジュール式計測器に至るあらゆる種類の計測器と統合して使用することで、要件の厳しいシステムニーズに対応し、ほとんどの計測データを収集できるようになります。さらに、LabVIEWを使用して、マルチコアプロセッサやFPGA (field-programmable gate array) といった技術のメリットを利用できるため、より高度なテストシステムをより迅速に開発できるようになります。
LabVIEWは、テストアプリケーションを短時間で開発できる直感的なグラフィカルプログラミング環境です。グラフィカルプログラミングでは、「アイコン」、つまり記号でできた機能を使用し、実行するアクションを絵によって表しています。これらの記号は、データを送信するワイヤで接続し、フローチャートに似た実行順序を決定します。このフローチャートはマシンコードにコンパイルされ、コンピュータのプロセッサが実行します。LabVIEWは構文的には異なるものの、従来のほとんどの言語で見られるプログラミング概念と同じプログラミング概念を含んでいます。LabVIEWは、ANSI CやC++といった言語に見られる手続き方式ではなく、コマンドが順次実行されていくデータフローの法則に沿って実行されます。このLabVIEWデータフローアプローチは、より直感的な使い方ができること、また、ステップの実行方法とアプリケーション全体から見たデータの流れがわかりやすいことから、システムの開発時間を短縮されます。
図1:ノードを介したデータの移動により、ブロックダイアグラム上のVIおよび関数の実行順序が決まります。
LabVIEWは、ユーザの専門分野に関係なく、テストシステムの開発をスムーズにするあらゆるプログラミング手法を提供します。LabVIEWを使用した計測の抽象化の例としては、Express VIを使用する場合が挙げられます。この場合、プログラミングが不要な構成ベースの手法を用いてタスクを抽象化します。Express VIを使用した場合、対話式のダイアログによるナビゲートに従いながら、関数の実行方法に関する構成オプションや詳細を決定していきます。LabVIEWは、ユーザによる追加プログラミングを必要とせずに、Express VIで構成された関数の実行に必要なバックエンドコードを自動的に処理します。
図2:LabVIEWは、テストアプリケーション開発の簡素化に使用できるさまざまな解析/計測制御Express VIを提供します。
ソースコードのデバッグは開発プロセスの中の重要部分です。LabVIEWが提供する優れたデバッグツールを使用すれば、LabVIEWプログラムの流れの中でデータの監視、停止、および評価を行うことができます。また、LabVIEWは、ライブのエラーチェック機能を提供し、ソースコード内の語義/構文問題を視覚的に見せることで、開発サイクルのより早い段階でエラーを検出して解消できるようにします。グラフィカルコードと高度なデバッグツールを組み合わせれば、プログラミング経験がごく浅いユーザでも、従来の言語に比べて短い時間でテストアプリケーションを完成させることができます。
デバイスの複雑性が増すにつれ、テストシステムはより柔軟に対応する必要が出てきます。LabVIEWおよびソフトウェア定義型のPXIモジュール式計測器を使用すれば、マルチベンダのオープン規格のメリットを活用して、目的をすばやく再設定できる柔軟性に優れたテストシステムを設計および実装することができます。システムに多種多様な計測器を使用すれば、すべての機能やプログラミング手法を統合するのも難しくなります。LabVIEWを使用すれば、統合プロセスは簡単になり手順も省略できるため、時間節約とフラストレーション解消につながります。
LabVIEWを使用すれば、単一の開発環境でテスト計測器をすべて自動化して、時間とコストを節約できます。LabVIEWドライバソフトウェアは、複数の種類の計測器、バス、センサといった箱型計測器からFPGAまですべてをシームレスに統合し、ほぼすべての計測器をテストシステムに組み込み可能です。ドライバソフトウェアは簡単に入手可能で、ハードウェアの機能すべてを利用しやすくします。LabVIEWドライバはプログラミング関数パレットに直接インストールされるため、ハードウェアのドライバ割り当て作業の手間が省けます。
図3:自動テストシステムの開発時に、多種多様な計測器と単一のソフトウェアツールを使用して、進化する要件に合わせてアプリケーションをカスタマイズし、生産性を向上させます。
PXIのモジュール式ソフトウェア定義による構成を使用すれば、進化するシステム要件とニーズに合わせてカスタマイズしたテストソリューションを作成できます。1,500種類以上のPXI製品に接続可能なLabVIEWは、PXIをテストシステムに組み込むには最良の手段と言えます。
テスト業界は継続的に進化しており、マルチコアプロセッサやFPGAといった商用のすぐに利用できる技術を使用した最新の開発のメリットを活用して、テスト時間の短縮を進めるほか、最新アプリケーションの性能要件に対応します。PXIをLabVIEWと組み合わせれば、マルチコアプロセッサやFPGAなどのその他の並列処理ハードウェアをプログラミングして、テストシステムの性能を向上させることができます。余分なプログラミングに労力を注ぐ必要はありません。LabVIEWは並列動作の可視化と実装を支援します。これは、最も一般的な並列プログラミングパターンが自然に示され、テストアプリケーションをマルチコアCPUに自動的に拡張することが容易になるからです。
図4:LabVIEWを使用すれば、こうした優れた技術のメリットを活用して、最新のすぐに利用できる商用技術を取り入れて急速に進化するプラットフォームを使用できるようになります。
LabVIEWおよびNI PXI組込コントローラを使用すれば、最新のマルチコアプロセッサに基づいたテストアプリケーションは、使用可能なCPUコア全体に対して処理負荷を分散することができます。各検査対象デバイス (DUT) 専用のテスタを用意する必要はありません。LabVIEWを使用して、ハードウェアのリソースや計測ルーチンを複数のコアに割り振ることにより、複数のテストを並列実行できるようになり、結果的に生産性とスループットが向上します。
LabVIEWは、マルチコアCPUの他にも、テストシステムにFPGAの機能を提供します。FPGAは、優れた柔軟性、信頼性、およびカスタマイズを必要とするアプリケーションに対して、強力なソリューションをもたらします。FPGAには独自の特性、メリット、およびトレードオフがありますが、LabVIEWにより計測ハードウェア上のFPGAにカスタマイズした信号処理/制御アルゴリズムを直接組み込むことが可能になります。
図5:NI LabVIEW FPGAモジュールを使用すれば、使い慣れたLabVIEWコードを使用してPXI計測器をカスタマイズできます。
LabVIEWはFPGAのプログラミングに最適です。これは、LabVIEWでは並列性とデータフローがわかりやすく表現されるため、従来のFPGA設計の経験のあるなしに関わらず、エンジニアは再構成可能なハードウェアのメリットを十分活用することができからです。オープンでカスタマイズ可能なI/Oがあれば、FPGAの柔軟性によりテストシステムの厳しい要件を満たすことができます。
LabVIEWには無数のエンジニアリング専用のソフトウェアライブラリが搭載されており、データの収集、解析、制御、共有を簡単に実行することができます。LabVIEWを使用すれば、850種類以上もある信号処理、解析、数学演算関数を利用して、テストシステム開発を簡素化することができます。これらの解析関数では、テストアプリケーションへの解析機能 (インラインとオフラインの両方) の実装方法を自由に選択できるため、テストシステムのアルゴリズムを完全にカスタマイズしたり、インテリジェント計測を実行したり、解析結果をより早く取得できるようになります。
図6:多数搭載された関数のメリットを活用すれば、解析および信号処理アルゴリズムをアプリケーションに追加する際の複雑性を軽減できます。
多種多様なテストアプリケーション要件に対応して、搭載された解析および信号処理関数は、プログラミング不要の高レベルのアシスタント関数から、低レベルのビルディングブロックまでを含む豊富な種類を網羅し、これらを組み合わせることでテストルーチンを完全にカスタマイズすることができます。プログラミング不要なExpress VIは、LabVIEWアプリケーションにインラインの計測解析および信号処理機能を追加するのに最も簡単な手段です。低レベルのビルディングブロックが必要なエンジニア向けに、LabVIEWには、フィルタ処理や信号生成、波形計測から微分方程式、カーブフィット、統計まで、さまざまな種類の関数が搭載されています。LabVIEWはグラフィカルプログラミング用のソフトウェアとして広く知られていますが、数式指向テキストプログラミングにも対応しています。MATLABスクリプトノードを使用して、同じマシンにインストールされているMATLABソフトウェアへのActiveX呼び出しを行い、スクリプトを実行できます。このように使いやすい機能を豊富に揃えた、PXIとLabVIEWをベースにした自動テストプラットフォームは、アプリケーションのいかなるニーズにも優れた柔軟性で対応します。
LabVIEWを使用すれば、データの収集と解析を実行するだけでなく、同じ環境内で、計測専用データやテスト結果を表示するカスタムユーザインタフェースを作成することができます。LabVIEWには、テスト専用のドラッグアンドドロップ式制御器および表示器が一式搭載されているため、アプリケーションのユーザインタフェースを迅速かつ簡単に作成でき、結果を効果的に可視化することができます。
図7:種類豊富なエンジニアリング専用の制御器および表示器から選択してカスタムインタフェースを作成します。
LabVIEWを使用すれば表示する内容を管理でき、ユーザインタフェースの中でオペレータが変更してはいけない部分を保護することができます。ごく短い時間でこのような搭載制御器のフォーマットや外観をカスタマイズできるため、簡単に使用できてわかりやすいアプリケーションを作成することができます。LabVIEWにはカスタマイズ可能な制御器のテーマが豊富に揃っているため、Windowsアプリケーションのような外観にすることも、すべての制御器およびカラースキームを変更して特定企業のブランドに合う外観にすることもできます。
図8:エンジニアやテストシステムオペレータを対象に、LabVIEWを使用してテストシステムの最も重要なすべての情報をアプリケーションに特化したGUIに組み込みます。
LabVIEWのデータ可視化とユーザインタフェース機能を一つにしたことで、データを迅速に表示できるツールとなり、直感的にシステムとやり取りできるようになりました。搭載された制御器は収集したデータに完全対応しているため、表示のためだけにデータフォーマットを変換する必要はありません。より特定された表示が必要なテストアプリケーションの場合、LabVIEWならカスタマイズや拡張が可能です。つまり、外観や動作を定義できるので、ユーザが最もわかりやすい形式でデータを表示することができます。
PXIとLabVIEWを組み合わせた自動テスト用総合プラットフォームにより、複雑化し続けるテストシステムのソリューションを開発することができます。LabVIEWの直感的なグラフィカルプログラミングアプローチでは、何行にもわたってコードを記述する必要がなく、ドラッグアンドドロップ式のグラフィカルアイコンを使用するため、テストの開発時間が短縮されます。LabVIEWは、マルチコアやFPGAの最新技術を取り入れた種類豊富なPXI計測器/プラットフォーム製品のメリットを活用することで、統合を簡素化し、実行時間を短縮する単一のソフトウェア環境です。搭載された広範囲の数学演算と信号処理関数の使用によりデータと結果に重点的に注力することが可能になり、生産性が向上します。最後に、LabVIEWで結果を表示させる際、搭載されたエンジニアリング向け制御器および表示器を使用してユーザインタフェースをカスタマイズできます。PXIとLabVIEWシステム開発ソフトウェアの組み合わせにより、事実上どのような自動テストシステムであっても、より迅速に、かつより自信を持って開発できるようになります。