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NI Switch Executiveとは

概要

NI Switch Executiveは、スイッチの構成を簡素化できるスイッチ管理/経路設定ソフトウェアです。自動テスト装置 (ATE) システム用のスイッチソフトウェアの最新版です。NI Switch Executiveでは、スイッチモジュール、外部接続、信号経路の構成や指定をマウスやキーボードの簡単な操作で行えるので、開発の生産性が高まります。また、NI TestStandやLabVIEW、LabWindows™/CVI、Measurement Studioと併用すると、テストコードの再利用が可能となるだけでなく、システム性能が向上します。NI Switch Executiveを使用すれば、開発が迅速化するとともに、スイッチシステムの保守も簡素化されるため、テストにかかるコストを削減できます。

内容

スイッチシステム開発時間短縮

NI Switch Executiveを使用すると、直観的な構成環境で“仮想デバイス”を作成することで、スイッチシステムの開発を加速化することができます。 Measurement & Automation Explorer (MAX) を使用したデータ収集に精通しているユーザにとっては、仮想デバイスの作成は仮想チャンネルの作成に似ています。NI Switch Executiveの仮想デバイス構成を使用すると、NIやサードパーティのIVI準拠スイッチを各種組み合わせて、1つの仮想スイッチデバイスを作り上げることができます。スイッチハードウェアを仮想スイッチデバイスとして定義した後は、スイッチシステムのその他のプロパティを指定できます。各スイッチデバイスには、次のようなプロパティがあります。

  • チャンネル
  • 配線
  • 経路
  • 経路グループ
  • 物理的属性

物理的属性には、以下のようなものがあります。

  • 配線モード
  • 帯域幅
  • インピーダンス
  • 整定時間
  • 最大電圧
  • 許容電流
  • 許容電力

NI Switch Executiveを使用すると、各スイッチ構成に関連する物理的属性を保存し、その情報を利用して適切なスイッチ経路を決定することができます。そのため、多額の投資をしたスイッチハードウェアで、オーバードライブや、高周波信号の経路が低周波スイッチデバイスに設定されることなどを避けることができます。

NI Switch Executiveの使いやすいアプリケーション構成環境には、複雑なスイッチシステムに使用されるチャンネルの構成用ツールも含まれています。それらのツールを使用すれば、各チャンネルにエイリアス名を付けたり固有のコメントを追加したりできるため、“c0”や“c2”というチャンネルの名前を“DMM”や“Scope”に変えることで、大規模なスイッチシステムで使用する数百から数千に及ぶ多数のスイッチチャンネルの管理が非常に容易になります。 また、複数のスイッチデバイスを使用する際にはチャンネルエイリアス機能が便利です。従来複数のスイッチを含むスイッチシステムでは、各スイッチデバイスに“c0”や“c2”など同じ名前のチャンネルが複数あり、それらが全く別の入力や出力を示していました。NI Switch Executiveでは、それらのチャンネルに異なる名前を割り当てることができます。さらにチャンネルモードでは、スイッチシステム内の各チャンネルを通常、構成、またはソースとして構成できるため、最終的なスイッチ構成を正しく検証することができます。通常モードは、スイッチシステムの通常のチャンネルで使用します。構成モードは、2つの通常チャンネルの接続に使うチャンネルで使用します。ソースモードは、入力電圧/電流を提供するチャンネルで使用します。図1は、グラフィカル構成ユーティリティに搭載されているインプレースチャンネルエイリアス編集機能を使用してチャンネルをすばやく構成する方法を示しています。

 
図1. NI Switch Executiveグラフィカル構成ユーティリティ


必要なチャンネルの構成が全て終わった後は、NI Switch Executiveに含まれている2つの画期的なユーティリティを使用してチャンネルのペアを接続して、経路を形成することができます。

1番目は、NI製スイッチデバイス用のグラフィカル構成ユーティリティです。図1に示すように、このユーティリティはグラフィカルなポイント&クリック方式となっており、NI製スイッチモジュールをクリックするだけで構成を行えます。スイッチマトリクスで経路を作成するには、Create route ボタンをクリックし、接続する行と列の交差ポイントを見つけてクリックします。経路グループも同じ方法で作成します。Create Route Group ボタンをクリックし、経路グループに含める交差ポイントを全てクリックします (図2)。チャンネルエイリアスを構成するには、当該の行または列をクリックして名前を変更します。

図2. グラフィカル構成ユーティリティによる経路グループの作成

2番目は、テキストベースの経路構成ツールです。このツールでは、エイリアスチャンネル名または完全なチャンネル名のリストから、接続する2つのチャンネルを選択します。選択したチャンネルに基づいて、NI Switch Executiveが使用可能な推奨ルートを表示します。推奨経路には、システム内の複数のスイッチデバイス間で交差する必要のある全ての配線も含まれます。ユーザは推奨経路を使用することも、経路を手動で指定することもできます。経路を選択した後は、テストソフトウェアプログラムで簡単に参照できるように、エイリアス名を付けます。さらに、テスト対象ユニット (UUT: Unit Under Test) に対する各テストでは、テストの実行前に複数の経路の切断と接続が必要になることもあります。その場合は、NI Switch Executiveを使って複数の経路をグループ化し、経路グループを作るとよいでしょう。この経路グループには、エイリアス名を付けてその名前でアクセスすることが可能です。UUTのテストをプログラミングする際に、テストプログラムで経路グループのエイリアス名を使用して、経路グループで指定された全ての経路を接続または切断できます。

シミュレーション

MAXの各NI Switch Executive仮想デバイス構成に、スイッチ構成全体の検証をシミュレーションモードで行うオプションがあります。構成の検証をシミュレーションモードで行うことで、スイッチハードウェアやUUTに損傷を与えるような重大エラーがないことを確認できます。構成した経路や経路グループに問題がある場合はレポートが表示されるため、簡単にトラブルシューティングしてただちに修正することが可能です。また、スイッチ構成全体に関するHTML形式のレポートもワンクリックで生成できるため、スイッチシシステム全体の構成の文書化や外部リファレンスを簡単に行えます。またNI Switch Executiveの各仮想スイッチデバイス構成は、XML (eXtended Markup Language) ファイルに簡単に保存できるため、実装したテストシステムにロードして手早い構成や再利用が可能です。

Excel統合

Excel Import/Export機能を使用すると、スイッチ構成をそのままMicrosoft Excel環境に移行させることができます (図3)。その後、検索/置換や公式のクリック&ドラッグなど、Microsoft Excelのテキスト編集機能を用いてチャンネルのエイリアス、経路、経路グループを複製することができます。また、Excelで構成を拡張することで、NI TestStandテスト管理ソフトウェアとの統合に有利な命名規則が利用しやすくなります。

図3. Microsoft Excelによるスイッチの構成

LabVIEW、NI TestStand統合

NI Switch ExecutiveはNIのテストアーキテクチャに完全に統合できるため、ATEテストシステムの開発に役立ちます。NI Switch Executiveソフトウェアを使用すると、統合されたテスト管理ソフトウェア内の様々なレベルで必要なスイッチ機能を抽出することができます。


図4. NI TestStandに統合されたNI Switch Executive

図5. LabVIEWに統合されたNI Switch Executive

たとえば、NI Switch ExecutiveをNI TestStandテスト管理ソフトウェアに組み込むと、テストごとにスイッチハードウェアを制御することが可能です (図4)。また、LabVIEW (図5)、LabWindows/CVI、Visual Studio用NI Measurement Studioなど、よく使用されるテスト言語で作成したテストモジュール内でNI Switch Executiveを使用してスイッチをプログラムすることができます。

図6. NI Switch ExecutiveでのIVI (Interchangeable Virtual Instrument) 規格の使用

システムメンテナンス簡素化

最後に、NI Switch Executiveを使用すると、自動スイッチシステムの管理も簡単です。対話式の使いやすい構成環境となっているため、スイッチ経路やハードウェアをすばやく変更して製品の変更に対応することができます。NI Switch Executiveは、図6に示すようにIVI (Interchangeable Virtual Instruments) 規格を採用しているため、IVI準拠のスイッチハードウェアをそのスイッチの他のバージョンや別のベンダのスイッチと交換した場合も、テストコードを書き直す必要が一切ありません (IVI Switch Class Driver関数を使用している場合)。IVIの詳細については、こちら (ni.com/ivi) を参照してください。

まとめ

新しい製品が登場するたびにUUTが複雑化する中、接続する必要のあるテストポイント数は急速に増えています。その影響で、スイッチシステムも複雑化しています。NI Switch Executiveを使用すると、スイッチシステムの開発と保守における多くの難題を解決できるため、最終的にテストシステムのコストを削減することが可能です。

関連リンク

製品とサービス: NI Switch Executive
スタートアップガイド: テストシステム