周波数とは、周期的 (定期的) な現象の反復の割合です。物理学では、回転、振動、波動に周期性を見出すことができます。アナログまたはデジタル波形の場合、信号周期の逆数が周波数になります。周期が短ければ、周波数が高く、周期が長ければ、周波数は低くなります。これを表したのが図1です。周波数が最も低いのは一番上の波形で、周波数が最も高いのは一番下の波形です。
図1. AC電子負荷
周波数は通常、角周波数ω (単位: ラジアン/秒)、またはƒ (単位: 秒-1)で表されます。また、ヘルツ (Hz) という単位としても知られています。また、拍/分 (BPM)、回転数/分 (RPM) でも周波数を表すことができます。角周波数ω (ラジアン/秒) とƒ (Hz) の間には、ω=2πƒという式で示される関係があります。周波数は位相φとの関係においても説明できます。φは、初期時刻t0における、指定した基準ポイントの波形の補正値を表し、通常、「度」または「ラジアン」として表されます。正弦波の例をとってみると、波形関数は時間の観点から、のように表すことができます。ここでは、定数として、Aは振幅、ωは角周波数、φは位相を表しています。
実際のアプリケーションにおける周期アナログ信号は複雑で、多くの場合、簡単な正弦波で表すことはできません。複雑な波形を簡単な関数の和 (正弦および余弦、または複素指数) に分解するにはフーリエ解析を使用します。こうした信号を構成する周波数成分は、興味深い特性であることが多く、この解析は、周波数領域またはスペクトル解析として知られています。このようなタイプの解析が必要になるのは、主に音響/振動の分野であるため、このホワイトペーパーでは説明しません。
これに対し、デジタル信号の周波数を求めるのは非常に簡単です。図2に示したような簡単なデジタル信号の場合、周期は単純に立ち上がりエッジの時間間隔、あるいは立ち下がりエッジの時間間隔です。
図2.デジタル波形
立ち上がりエッジまたは立ち下がりエッジの時間間隔が若干異なる場合、多数のサンプルの平均値から周波数を求めることができます。
デジタル周波数を収集するプロセスは極めて簡単です。低周波数信号の場合、使用するカウンタまたは内部タイムベースは1つで十分です。入力信号の立ち上がりエッジが内部タイムベースのティック数のトリガとなり、カウントされます。内部タイムベースの周波数は既知であるため、入力信号の周波数は簡単に算出することができます (図3)。
図3.内部タイムベースに対するデジタル信号 (低周波数の場合カウンタは1つ)
デジタル信号の周波数が非常に高いか、各値が異なる場合、以下に説明するダブルカウンタ方式のいずれかが適しています。同じハードウェア制限条件がどちらの方式にも適用されることにご注意ください。つまり、計測中の周波数は、内部タイムベースの最大入力周波数を上回ったとしても、カウンタが対応している最大入力周波数を上回ることはできません。
高周波数信号の場合、カウンタは2つ必要です。2つ1組になったペアカウンタは、ユーザが指定した周期「計測時間」でパルス列を生成します (図4)。このパルス列は計測中の信号よりはるかに大きいのですが、カウンタのロールオーバーが起こるほど大きくはありません。
図4.デジタル信号周波数をダブルカウンタで計測した場合 (高周波数)
この内部信号の計測時間は、内部タイムベースの倍数、つまり分周できる値である必要があります。 入力信号のティック数は、内部信号によって提供された計測時間内でカウントされます。 ティック数を既知の計測時間で分周すると、入力信号の周波数が求められます。
周波数が異なる信号の場合は、このダブルカウンタ方式を用いると、全範囲にわたって確度が向上します。この場合の入力信号は、既知の値または分周率で分周します。分周された信号が論理HIGHの間に、内部タイムベースのティック数がカウントされます (図5)。 こうしてカウントされたティック数と内部タイムベースの周期によって、論理HIGHの時間がわかります。これに2を乗算して、分周された信号の周期 (HIGHおよびLOWの時間) を求めることができます。これは入力信号周期の倍数になります。この入力信号の周期を逆数にすると、周波数が求められます。
図5.デジタル信号周波数をダブルカウンタで計測した場合 (広範囲)
この方式は、広範囲の値の平均値を取って、信号のばらつきをカバーしているようなものですが、タイムベースより高い周波数の信号を計測する場合にもこの方式を使用することができます。
ハードウェアタイミング機能の付いたデバイスは、カウンタ測定に適しています。ここでは、NI CompactDAQシステムを例として紹介します (図6)。NI CompactDAQのハードウェアタイムベースはシャーシのバックプレーンに装備されており、NI Cシリーズモジュールに固有のものではありません。
図6.NI cDAQ-9178シャーシおよびNI 9401デジタルI/Oモジュール
NI 9401には、8つのデジタルチャンネルに接続するためのD-Subコネクタが備わっています。各チャンネルにはデジタルI/Oピンがあり、デジタル入力/出力デバイスを接続することができます。CompactDAQシャーシの4つのカウンタには、シャーシの任意のスロットからアクセスできます。計測ハードウェアのセットアップが終了したら、次はMeasurement & Automation Explorer (MAX) を起動し、周波数カウントのセットアップをします。MAX上では接続すべき入力端子が指示されます (図7)。
図7.Measurement & Automation Explorer (MAX) の構成のスクリーンショット
システム構成が完了したら、LabVIEWグラフィカルプログラミング環境を使用して、データ表示することができます (図8)。
図8.LabVIEWで表示された周波数計測