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NIのSLSC (Switch, Load and Signal Conditioning) は、PXIやCompactRIOなどのNIデータ収集製品向けアドオンです。SLSCは接続機能を標準化した、信号調節、フォルト生成、その他のテストニーズに対するモジュール式アプローチを提供します。このホワイトペーパーでは、SLSCの詳細を解説し、NIおよびNIのパートナーが作成したSLSCモジュールおよびアクセサリの発展的なエコシステムをご紹介します。
技術の進歩に伴い、自動車や航空機をはじめとする複雑なセーフティクリティカルなシステムにおいて、組込ソフトウェアの普及が進んでいます。多くの業界で、システムに対して実際の入力をシミュレーションしながら組込ソフトウェアをテストするための手法として、HIL(Hardware-In-the-Loop)テストが採用されています。このアプローチでは早期にテストを実施することができ、多くの場合高価なハードウェアを破損するリスクもなく、また未検査の製品に関連する安全上のリスクが発生することもありません。
HILテストの成功は実世界の信号を正確にシミュレーションできるかどうかにかかっているため、信号の整合性を保証するために、カスタム仕様の信号調節を行い、シミュレーションする負荷を社内開発することが一般的です。実際にシステムを担当しているテストエンジニア以上に固有のテスト要件に精通している人材がいないというのは事実ですが、NIはこうしたカスタムエンジニアリングの大部分が企業や業界間で共通したものであることを認識しています。この認識が、NIの強力な計測/制御プラットフォームのアドオンである、信号調節とテスト用刺激信号のニーズを合理化するSLSCの開発へとつながりました。
SLSCはPXIなどの計測/制御ハードウェアの機能を拡張する
SLSCはモジュールを収容したシャーシで構成されており、PXIおよびCompactRIOを拡張します。各モジュールはRTI (Rear Transition Interface)を備えており、SLSCからPXIやCompactRIOへの柔軟かつ標準化された接続機能を提供します。さらに、SLSCシステムには標準のピン配列が備わっており、標準のケーブルを使用できるため、ポイントツーポイント配線が不要です。
SLSCプラグインモジュールは、シャーシに収容して、スタンドアロン、パススルー、カスケードの3種類のモードで動作させることが可能です。カスケードモードでは、複数のSLSCモジュールを介して信号パスをカスケードしたり、信号フォルト生成などの機能を実装したりできます。様々な他社製モジュールの中から選択したり、NIが提供するハードウェア/ソフトウェアモジュール開発キット(MDK)で独自のモジュールを作成したりすることができます。
SLSCハードウェアでは、信号蓄積や標準ケーブルの使用によって、システムのポイントツーポイント配線を減らせるため、全体のシステム統合を簡素化することができます。各SLSCシャーシは、SLSCデジタルバスで構成されています。このバスを使って、各モジュールでパラメータを検出、構成、設定できます。信号はSLSCモジュールを通過する際、フロントコネクタ、またはRTI (Rear Transition Interface) コネクタを経由します。独自の補助的バックプレーンRTIを設計することもできるため、システム配線を減らすことができます。
SLSCはDUT/UUTと、使用しているデータ収集デバイスの間に配置
SLSCシステムは、シャーシ、モジュール、RTI (Rear Transition Interface)、ケーブルの4種類のコンポーネントで構成されています。 シャーシとアーキテクチャは、ナショナルインスツルメンツが設計、製造しており、エコシステムを補完するその他のコンポーネントはNIおよびパートナーが製造しています。
SLSCコンポーネントとPXI DAQカードとのインタフェースのサンプルシステム構成図
NIには様々な業界の自動テストと自動計測の専門知識が蓄積されています。この広範な専門知識があるからこそ、業界をまたがるニーズの認識を基に、SLSCのような新しい製品を生み出すことができるのです。ただし、必要とされるのは特定のアプリケーションに向けた製品です。このため、オープンプラットフォームとなるように設計されたSLSCは、NIやNIのパートナーが作成したモジュールと、お客様がモジュール開発キット(MDK)を使用して作成したモジュールで強化できるようになっています。
SLSC用のMIL-STD-1553モジュールを作成したBloomy社など、当社のパートナーがもたらす特定分野の専門知識を活用して、業界および独自のテストニーズに特化した製品を作り出すことができます。
以下は、NIおよびNIのパートナーが作成した、現在利用できるSLSC用の製品リストです。HILシステムの特性は複雑であるため、以下に示す技術をご検討される際は、当社までお問い合わせください。NIおよびNIアライアンスパートナーは、お客様のテスト要件が確実に満たされるように努めています。
コアコンポーネント
モジュール
NIでは、プロトタイピング、デジタルI/O、経路設定、フォルト生成などの各種モジュールをご用意しています。全モジュールのリストについては、弊社のSLSC製品カテゴリをご覧ください。また、多くのNIパートナーから、システムに組み込むことができるSLSCモジュールが提供されています。
その他のコンポーネント
RTI (Rear Transition Interface)* | NI製品番号 | ベンダ | 説明 |
---|---|---|---|
RTI-12301B | 786330-01 | NI | RTI DIO 32、SHC68-C68-RDIO2用 |
RTI-12302 | 785377-01 | NI | RDIO2用64チャンネル |
RTI-12303 | 785375-01 | NI | DIO/AO/AI X 4バンクナノフィット |
RTI-12304 | 785374-01 | NI | DIO 37 D-Sub |
RTI-12344 | 785376-01 | NI | AO 37 D-Sub |
RTI-12305 | 785896-01 | NI | HD44コネクタ |
*RTIの推奨事項はモジュールのユーザマニュアルを参照してください。
ケーブル* | NI製品番号 | ベンダ | 説明 |
---|---|---|---|
SHC68-C68-RDIO2 | 156166-01 | NI | 1 m |
SHC68-C68-RDIO2 | 156166-02 | NI | 2 m |
SH37F-37M-1 | 778621-01 | NI | 37ピンメス⇔オスシールドI/Oケーブル、1 m |
SH37F-37M-2 | 778621-02 | NI | 37ピンメス⇔オスシールドI/Oケーブル、2 m |
*ケーブルの推奨事項はモジュールのユーザマニュアルを参照してください。
アクセサリ | NI製品番号 | ベンダ | 説明 |
---|---|---|---|
前面パネルフィラーキット | 785206-01 | NI | 4カウント |
背面パネルフィラーキット | 785207-01 | NI | 4カウント |
フィルタ交換キット | 785208-01 | NI | 該当せず |
ファン交換キット | 785218-01 | NI | 該当せず |
電源コネクタ | 785219-01 | NI | 5カウント |
RTI抜け防止 | 785999-01 | NI | 5カウント |
NIとNIのパートナーは幅広く使用されると思われるモジュールを開発し、リリースしていますが、お客様のテストシステム固有の特定要件が存在することは承知しています。このようなニーズに対応するため、当社のパートナーはお客様独自のテスト要件に合わせて調整した、NIプラットフォームをベースとしたテストシステムを設計し、提供することができます。
NIパートナーは、日本アライアンスプログラムに参加しているシステムインテグレータを中心としたパートナー企業で、代理店の関係は有していません。