Youngkey K.Kim, SM Instruments Co. Ltd.
環境騒音を軽減するため、韓国鉄道技術研究院とともに、KTX-山川高速列車のノイズ源を視覚化するシステムを開発する。
NI LabVIEWソフトウェアと144チャンネルのマイクロホンフェーズドアレイを使用して、移動音源ビームフォーミングアプリケーションを開発した。
Youngkey K.Kim - SM Instruments Co. Ltd.
Sunghoon Choi - 韓国鉄道技術研究院
韓国の技術を使って2010年に運用を開始したKTX-山川は、韓国鉄道公社 (KORAIL) が運行する高速列車です。最高時速300 km (186 mph) で走行する列車の運用は、推進音や機械音などの回転騒音、車輪とレールの接触による機械騒音、列車周囲の気流による空力騒音などの環境騒音に敏感です。騒音全般を低減するため、すべての顕著なノイズ源を特定しようと、いくつかの是正処置が施されてきました。
韓国鉄道技術研究院と、NIのパートナー企業で音響/振動の測定を専門とするSM Instruments Co. Ltd社は、通常運転中の実物大列車のノイズ源を視覚化するため、LabVIEWとフェーズドマイクロホンアレイを使って移動音源ビームフォーミングアプリケーションを開発しました。 テストの主な目的は、2種類の列車からの騒音を比較することでした。2004年に運用が開始されたTGV Réseau (レゾ) から派生したKTX-1がひとつで、もうひとつは韓国内で初めて開発された商用高速列車の新型KTX-山川 (KTX-II) です。
ビームフォーミングとは、音響アレイを使用してノイズ源をマッピングする方法です。音がマイクロホンアレイを通過する際に発生する遅延時間から、音が発生している方向を識別します。ただ、移動する音源では複雑性が増します。通過テストのように物体がアレイを通過する際、ドップラー効果によって周波数成分が歪むからです。これは、従来のリアルタイムビームフォーミングにとって重大な問題です。これを補正するため、私達はソフトウェアで遅延時間を継続的に調節し、移動音源を追跡することにしました。この方法に従えば、ドップラー効果を自動的に除去できます。処理時間は長くなりますが、移動中のビーム出力を平均化できたのです。各時間ステップにおける移動音源の位置情報は、トリガセンサを使用して獲得しました。当社のソフトウェアでは、速度は一定であると想定しています。
ハードウェア構成は、標準のビームフォーミングの場合とほぼ同じです。ただし、移動音源のビームフォーマにはトリガセンサが必要です。当社では2つの光電センサを使用して、位置のトリガと列車速度の計算を行いました。
また、高速列車のテスト用に144チャンネルのマイクロホンアレイを設計し、画像分解能を高めました。NI PXI-4496ダイナミック信号収集モジュールを使用して測定データを収集したほか、特殊なタイプの光センサを搭載したICP/IEPEマイクロホンによって列車の位置をトリガしました。前回KTXに対しテストが行われたのは2006年、Korailが高速鉄道の運行を開始した直後でした。このとき、48チャンネルのアレイで時速297 kmのKTXから移動音源を捉えることに成功しました。
マイクロホンアレイのパフォーマンスを左右する2つのパラメータがあります。(1) 画像の分解能を決定するビームフォーミングパワーのメインローブ幅と、(2) ゴースト像のレベルを特定するサイドローブの最大レベルの2つです。アレイパターンの違いによって、パフォーマンスの指標も異なってきます。4つのパターンを比較したところ、当社のスパイラルパターンが非常にバランスのよい結果を示しました。
144チャンネルアレイには、3つの異なるパターンを組み合わせてパフォーマンスを高めました。どのタイプのパターンも形状は同じですが、直径が異なります。小径のものは高周波数で最大サイドローブレベルが低い場合に適しており、大径のものは低周波数で高分解能に適しています。風によって起こる騒音への対策として、マイクロホンにウィンドスクリーンを装着しました。
データを収集し、後処理を実施します。次に、右方向に移動する列車の最後尾車両の画像を精査し、位置の精度を確認します。トリガには光センサを使用したため、位置のシフトも考慮しました。列車には多くの車両が連結されていますが、最後尾車両にのみ屋根にパンタグラフ (架線からの集電装置) があります。最初の画像は、渦の離脱により適切な位置で500 Hzの騒音を発生しているパンタグラフを示しています。2,000 Hzの一番下の画像では車輪の位置も確認しました。
より高い周波数では、車輪からのノイズ源がさらに明確になります。それにより、各車輪の振幅は異なることがわかります。このテクニックは、保守の目的で運転中の車輪の状態を監視することにも利用可能です。
今後の計画では列車速度のさらなる向上が求められるため、特に空力騒音によって騒音レベルが増加する可能性があります。騒音の少ない列車を開発するためには、ノイズ源に関する深い理解が必要です。LabVIEWを利用するとノイズ源の振幅を視覚化できるため、騒音抑制対策のためのツールとして利用できます。
Youngkey K.Kim
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大田(テジョン)
韓国
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