野口 宙氏, NPO 法人Natural Science ものづくり講座 富谷町立成田中学校
簡単に操作できるロボットの遠隔制御システムを作製する
LabVIEW とデータ集録(DAQ)デバイスを使って、PC とロボットに搭載されたマイコンを接続する。 PC からの信号に応じてマイコン経由でモーターを駆動し、ロボットの動作をコントロールする。
1. 課題の説明
• 多くの人に電子工作やロボットに興味を持ってもらうため、だれでも簡単にロボットの操作が体験できるシステムを作製する。
• ロボットに搭載したカメラの画像をPC モニタ上に表示し、その画像を見ながらリアルタイムにロボットの移動、アームの動作
を遠隔制御できるようにする。
2. 課題とソリューション
(1) アプリケーションの概要とシステム概要
ロボットはPC 画面上からの操作で、前後左右への移動とアームを使ってボール等を持ち上げることができる。
LabVIEW の画面上に表示されたロボットの移動方向、またはアームの上下動作のボタンをクリックすると、ロボットに搭載されたDAQ からマイコンに信号が送られる。マイコンはDAQからの信号によりモータードライバをコントロールし、クリックされたボタンに応じたモーターを駆動する。図1にロボットの操作画面を示す。
(2) NI テクノロジ採用の理由
• USB に関する知識がなくても、PC と外部機器を接続するシステムを作製できるため。
• ユーザーインタフェースからロボットを制御するプログラムまでを、ソフトウェアの詳しい知識がなくても作成できるため。
• 機能の追加、修正が簡単にできるため。
(3) システム構成
制御系の構成を図2 に、システム全体を図3に示す。
• LabVIEW : ロボットの操作画面を表示し、操縦者がクリックしたボタンに応じた信号を出力する。
• DAQ : LabVIEW からの信号をマイコンに出力する。
• マイコン : DAQ からの信号により、モータードライバを制御する。
マイコン内のプログラムはものづくり講座で用意されたものを使用した。
ロボット本体、走行部、アーム駆動部は、タミヤ工作パーツを使用した。
ロボットにはUSB カメラが2 台搭載され、ロボット周囲の状況とアーム先端部分の画像をPC 上で見ることができる。
(4) LabVIEW の機能
DAQ を使った外部機器との接続機能を利用し、今回のシステムで重要なパソコンからロボットに搭載したマイコンへのデータ通信を実現することができた。
(5) プラットフォームベースアプローチについて
ロボットを簡単に操作できるようにするため、操作画面のボタンの大きさや配置を工夫した。実際のユーザーインタフェース画面を見ながらレイアウトを修正し、すぐにロボットの動作を確認できるため効率良く作業を進めることができた。
4. まとめ
簡単に操作できるロボットの遠隔制御システムを作製するという課題に対して、ソフトウェアに関する詳しい知識はなかったが、LabVIEW のグラフィカルプログラミングは分かりやすく、限られた時間内でユーザーインタフェースからロボットの制御プログラムまでを作ることができた。
今回作製したシステムは、NPO 法人NaturalScience が主催したイベントで展示され、小学生から大人まで多くの来場者にロボットの操作を体験してもらうことができた。
野口 宙氏
NPO 法人Natural Science ものづくり講座 富谷町立成田中学校